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大学生以来のバックパッカーの旅。
何とかなるだろうという自己信頼もあるものの、10年ぶりになるので、出発前は不安と期待が入り混じっていた。
そんな中、旅行の準備のひとつとして、カンボジアビザを取りに東京の大使館へ赴くと、早くも「旅情」を感じさせる出来事があった。
青山にあるこの大使館は、外面こそ周囲に溶け込んだ何の変哲もない新しい建物なのに、中に入ると、そこはもう日本ではなかった。
自分以外に申請者がいない空虚な室内で、持ってきた申請用紙とパスポートを受付のカンボジア人と思われる女性に手渡す。しかし、目を合わすことなく、黙々と作業をこなす彼女。
日本なら「少々お待ちください」などの言葉をかけてもいいはずなのに、しばらく無視。
そして1分くらいおいて、やっと窓越しに置いた用紙を受け取る。
彼女はそれをじっと眺め、そして食い入るように書面をのぞいて・・・
・・・
・・・
・・・
「オカネ」
と初めて口を開く。
その反応の遅いこと遅いこと。
この瞬間、10年前のインド旅行の懐かしい光景が、鮮明に甦ってきた。インドは、駅で切符を買おうが、銀行で両替しようが、とにかく「のろい」のである。テキパキした処理に慣れている我々からすると、笑っちゃうくらいのろかったのをよく覚えている。
そして今、久しぶりに、その「悠久の時間」をこの日本の都会のど真ん中で体験した・・・
「あぁ、僕はまたそういう国に行くんだなぁ」
そして、オカネを渡してしばらくおいて、今度は・・・・
「ゲッスイヨゥ」
という一言。
「え?」
「何?何??」
そうすると見かねて、奥の方にいた日本語のもう少しうまい大使館員から「月曜日ですよ」と言われ、月曜日に取りに来いということを理解する。
東南アジアの言葉は末尾を発音しないと聞いていたが、ここまで原型を留めていないとわからない。
せっかく、タイ語会話集なんぞ持っていって挑戦しようと思っているのに、こりゃ手ごわいな〜
旅は始まる。
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