アジア旅行記 【2】 2003年8〜9月
旅はもう始まっている(カンボジア大使館
 大学生以来のバックパッカーの旅。

 何とかなるだろうという自己信頼もあるものの、10年ぶりになるので、出発前は不安と期待が入り混じっていた。

 そんな中、旅行の準備のひとつとして、カンボジアビザを取りに東京の大使館へ赴くと、早くも「旅情」を感じさせる出来事があった。


 青山にあるこの大使館は、外面こそ周囲に溶け込んだ何の変哲もない新しい建物なのに、中に入ると、そこはもう日本ではなかった。

 自分以外に申請者がいない空虚な室内で、持ってきた申請用紙とパスポートを受付のカンボジア人と思われる女性に手渡す。しかし、目を合わすことなく、黙々と作業をこなす彼女。

 日本なら「少々お待ちください」などの言葉をかけてもいいはずなのに、しばらく無視。

 そして1分くらいおいて、やっと窓越しに置いた用紙を受け取る。

 彼女はそれをじっと眺め、そして食い入るように書面をのぞいて・・・
・・・
・・・
・・・
「オカネ」
と初めて口を開く。
その反応の遅いこと遅いこと。

 この瞬間、10年前のインド旅行の懐かしい光景が、鮮明に甦ってきた。インドは、駅で切符を買おうが、銀行で両替しようが、とにかく「のろい」のである。テキパキした処理に慣れている我々からすると、笑っちゃうくらいのろかったのをよく覚えている。

 そして今、久しぶりに、その「悠久の時間」をこの日本の都会のど真ん中で体験した・・・

 「あぁ、僕はまたそういう国に行くんだなぁ」

 そして、オカネを渡してしばらくおいて、今度は・・・・


「ゲッスイヨゥ」


という一言。

「え?」
「何?何??」

 そうすると見かねて、奥の方にいた日本語のもう少しうまい大使館員から「月曜日ですよ」と言われ、月曜日に取りに来いということを理解する。

 東南アジアの言葉は末尾を発音しないと聞いていたが、ここまで原型を留めていないとわからない。

 せっかく、タイ語会話集なんぞ持っていって挑戦しようと思っているのに、こりゃ手ごわいな〜

 旅は始まる。

次の日記 >>

奈良の古建築と空間 Rainy Sanctuary

奈良のお寺 - Rainy Sanctuary