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日頃何だカンだとエラそうなことをほざいている割に、三谷幸喜の生舞台は初見のワタシだったりする訳でして。ほほほ・・・ちょっと恥。 いやしかしだってだって、『オケピ!』も『笑の大学』もチケット玉砕したんだもーん。『巌流島』と『笑の大学』は何とかビデオで見たけどさ。 それにしてもe+には許しがたいものを感じるワタシ。 結構な手数料取っておきながら、ほとんど最後列(パルコ劇場のM列。ちなみにパルコ劇場はN列まであるが、このN列ってのは壁に背中がくっついてる席である)ってのはどういうコトよ一体。そりゃワタシは確かにチケット運が物凄く悪い人間ではあるが、手数料取られてまで最後列に座らされたんじゃ腹の虫も収まりませんわな。以前ここで取った『野獣郎見参』の時も酷い席だったし・・・くそう、 「取ってやったんだから文句言うな」 ってことかい?今後はイープラスではなく@ぴあを使おうと堅く心に誓ったワタシなのでございました。 で、初三谷。 期待値が高すぎたのか、脚本の目指す方向とワタシが見たかったモノとが微妙にズレていたせいか、120%の満足とは行きませんでした。ち、残念。 しかし、面白くなかったのかと言えば、決してそんなことはございません。えぇもうこれが、爆笑また爆笑に次ぐ大爆笑でございまして。ある一場面なんぞでは、声を殺しつつヒクヒク笑いすぎて(何分舞台ですからね。声を挙げて笑うと周囲のお客様にご迷惑になる訳ですわ)顎関節が痛くなったくらいでございますわ。 ワタシが見たかったのは、全てのファクターが最後の最後にパズルのようにぴたぴたとハマって行くタイプの、いわゆる「良く出来た」芝居。しかして今回三谷氏が狙ったのは、「感動もへったくれも無く、ただひたすら笑えて面白いだけの芝居」。それっていわゆる長目のコントってヤツじゃないのかい?という微妙な疑問は結局のところ的中した格好となり、2時間たっぷり“三谷幸喜の結婚コント”で大笑いして帰宅した次第でございます。本当にそれはそれは面白い舞台だったんですけど、一応「芝居」であるからには、多少のカタルシスが感じられる“辻褄合わせ”みたいなモノも欲しかったかなぁ、等と思ってしまうのは、やっぱり『古畑任三郎』(特にファーストシーズン)や『王様のレストラン』の偏愛し過ぎってヤツなんでしょうか。 そもそもワタシの場合、 「上演中は死ぬほど笑い転げるが、劇場を出たとたんかけらも思い出せない位にバカバカしい芝居」 というのには結構な耐性がありますんでねぇ。しぱーっ(剣風に)。 それにつけても、戯曲家として名が売れるってことは、やっぱり重要なんだなぁ、と。とにかくもう、出演者が涎ダラダラもんの豪華さでして。正直、制作が発表されたときにゃ、 「三谷新作ってだけで充分激しい争奪戦が予想されるのに、この出演者かい・・・こりゃ相当の無理をせねばチケット取れんなぁ、全くパルコも余計な事をしやがって・・・」 とゲンナリしたほどの面子が集まった今回。沢口靖子を除く全ての役者が、絶妙としか言い様の無い見事な芝居を披露してくれた訳でございます。 これ以上は無いというほど美味しい役どころの八嶋智人クン、こうなるともう究極のお便利俳優ですな。どこに置いてもぴたっと嵌まって美味しい処をさらっていくあのたたずまい、素晴らしいの一語でございます。小柄な体格をフルに活かしての縦横無尽の大活躍は、いわば今回の裏主役。 「何とかしましょうッ!」 この台詞が今日本一似合う役者、と言っていいでしょうな。はっはっは。良かったねぇ梶原善さんに代えられちゃわなくて。 そんな八嶋クンに喰われがちだったとは言え、生瀬勝久も相変わらず節々で 「ホンットに生瀬っていい役者だよなぁ・・・」 と嘆息を誘うような芝居っぷりを見せてくれまして。ま、ワタシが単なる生瀬ファンだというのもあるんでしょうが、どこから見ても立ち姿が良い(実はこの人凄まじくスタイルがいいのよね)ってのは、舞台役者としての力でございましょう。良かったねぇ古田新太に代えられちゃわなくて(初日だかプレだかの前説で、突然出て来た三谷幸喜が「今日の出来如何によっては、八嶋が梶原に、生瀬が古田に代わっているかも知れません」とほざいたらしいです)。 伊東四朗サン、ワタシが見たのは楽日近くだったので、ちょっとばかりお声が通りにくかったんですが。しかし、派手なジャケットをいなせに着こなす自己中オヤヂを愛嬌たっぷりに演じて厭味なし。このイヤミの無さってのは、本当に得がたい資質ですわよね。声はともかく身体が実によく動いてらしたのにはちょっと感動いたしましたわ。 一方、厭味満点のキャラクターを実直に演じた角野卓造サン。人間的にはさっぱり面白みの無い元漫才師の市会議員、という役どころをしっかり噛み締めて、いかにも真面目くさったムードでさらりと演じるすれ違いコントに爆笑のワタクシ。上昇志向バリバリで相方を捨てて市会議員になったくせに、ついつい伊東サンに乗せられちゃって漫才の練習始めちゃう辺りの可愛げも、瑕疵無く演じてお見事でございました。 オロオロさせたら日本一の伊藤正之さんは、今回も存分に三谷脚本にオロオロさせられまくっておられました。ワタシが顎関節傷める位に笑い転げたのは、正にこの伊藤正之さんのオロオロ全開シーンでございます。 “パーティ”という単語にわくわくする余り、目を離した隙にどんどん派手になっていく母親役に久野綾希子サン。沢口靖子の母親役だなんて、そんなお年じゃないでしょう?と思わず暴れてしまいたくなるような美貌と可愛らしさでございました。“化粧と衣装が派手になっていく”という身体を張ったギャグ以外にはさほど見せ場の無いキャラクターなんですが、さすがのキャリアで堅調なお芝居。 で、問題の、問題の沢口靖子。 三谷幸喜万歳、と心からの拍手を送りたくなるような目の付け所でございます。とにかく可愛くってぼんやりしてて悪意が無くて抜けている花嫁サン役。花嫁なだけに、途中で真っ赤なドレスに衣装替えして現れるんですが。思わず客席から 「ほーっ」 とため息が漏れてしまうほどの美しさ、可憐さでして。 しかも、その大根っぷりが、業師満載の舞台上で、逆に一掬の清涼剤として機能してしまうという・・・もう、ただひたすら三谷幸喜の手腕に感激ですわ。 ストーリー。 つきあってるのも内緒なら、もちろん結婚式も内緒・・・なぜなら、お互いの父親がとある事情で犬猿の仲。そう、2人はまるでロミオとジュリエット、味方は花嫁の母(久野)ただ1人。 「でも・・・やっぱりお父さんに祝ってほしいの」 という訳で、お互いの父親を勝手に呼んじゃった花嫁(沢口)。そして新郎(生瀬)がその事実を知ったのは、なんと披露宴2時間前! 2人の(というより主に新郎の)心配と裏工作をよそに、結局顔を合わせてしまう双方の父親(伊東・角野)。この2人、かつて人気急上昇中に喧嘩別れした漫才コンビ。片や売れない芸人片や市会議員の先生とくれば、久々の再会に喧嘩の始まらない訳が無い。 ところがあにはからんや、説得工作で周囲が右往左往するうちにこの2人、全てのてんやわんやは自分たちのコンビ復活を皆が望んでいるためだと勘違い。衣装合わせにネタ合わせ、いそいそと練習始めるオヤヂコンビの姿に、ウエディングカップルだけでなく居合わせた喫茶室のウエイター(八嶋)までがやきもきする羽目に。そして、何も知らずに巻き込まれたウエディングコーディネーター(伊藤)の運命や如何に・・・。 古今東西のコメディシチュエーションを盛り込んでの長編コント(ま、語義的に「長編」と「コント」というのは相反するのだが、その辺は大目に見ていただいて)といった態のお芝居でございます。八嶋クンのキャラにおんぶにだっこ、という側面も見えない訳ではございませんが、“宛て書きの三谷”の事ですから、キャラクター頼みも展開に折り込み済みでしょう。 いやもうとにかく、ただ単純に笑った笑った面白かった、というお芝居でございました。カタルシスはなーんにも無いけど。ホントに。 そういえばこの話、八嶋→南原:生瀬→内村、ついでに伊藤→勝俣とコンバートすると、そっくりそのままウリナリコントになるような気が。あ、伊藤→原田泰造で笑う犬コントでも行けるか。となると、伊東→ホリケン:角野→名倉でも何とかだいじょうぶそうな(ただし、沢口靖子は沢口靖子固定でヒトツ)。 |