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もののけ姫


宮崎駿監督最後の作品!構想十数年!制作だけでも3年以上!
・・・という事で、“『もののけ姫』は、にしたにパーソナルベストワンアニメ・『ラピュタ』を超えられるか?”というのが今回のテーマでありました。
詳しい状況説明の方は“にしたにのひとりごと”のバックナンバーに譲りますが、なにせ期待が大きくて。こんなにワクワクしながら映画館に入ったのって、本当に久しぶりでした。

最初の印象としては、「まぁなんてダイレクトな・・・」。
設定もストレートなら台詞も直球勝負。“伝えたいメッセージ”が直接台詞の中に入ってる。観る前の想像以上に神話性が薄く、地に足がべったりとついた骨太な印象。確かに神様は出てくるんだけど、全然ファンタジーじゃないの。山の神々なんて、メタファーじゃなくてそのものズバリなんだもん。“トトロ”や“王蟲”みたいに、何か漠然としたものの具現化じゃない。読み解くまでもない。リアル。ストーリー展開はともかく、設定に奇麗事が無い。痛いことを痛いなりに、ダイレクトに提示してる感じ。その潔さに、もうゾクゾクしました。

ことほど左様に設定が痛かっただけに、ラストにはちょっと不思議な感じが残りましたな。
たとえば、


    ・シシ神の頭を持って帰れなかったジコ坊は、(多分、それを所望していたやんごとなき方々から
     色々な種類の叱責をうけるだろうに)何故あんなに呑気に笑っていたのか?
    ・最後のアシタカの台詞、「私はタタラ場で暮らそう」。タタラ場で受け入れられるだろうという
     アシタカの想いの根拠は?
    ・全壊したエボシタタラと、アサノ公方との決着は?
    ・今までエボシに隠されていたヤマイモチの人々と、タタラ衆との今後の関係は?

等々。
展開として、ここまでアシタカやエボシを追いつめておきながら、「それでも彼らはそれを乗り越えて生きていきましたとさ」という結論でいいのか?という疑問が大きく残った感があります。

しかし!映画は2時間!そこまで要求するとなると、前後編やそこらでは収まらないでしょう。そんな事は判ってるんです。モノガタリとして完結させるためには、全てをチャラにしてしまうか「それでも彼らは頑張りました」にしないことには収拾が付かなくなる。
判っていながら何故無い物ねだりをしてしまうかというと、話は簡単。
『コミック版・風の谷のナウシカ』の衝撃が、まだつよく私の中に生きているからなんですね。
あれは、全7巻というボリュームの中で、とにかくテーマを総てクリアにしました。最後のナウシカの決意は、正に大団円と呼ぶにふさわしいものでした。宮崎監督御自身としても、時間的・量的制約のほとんど無い中で、思う様全部描き切ったと言えるモノになったんじゃないかと思うんです。
それに比べちゃうと、やっぱり少々小粒な終わり方なんですよねぇ。当たり前だと頭で知ってはいても、“あの、『ナウシカ』のミヤザキハヤオの新作!”と思えば、どうしても旧作の上を行って欲しいと考えてしまうファンというものの浅はかさ。その“旧作”が、たとえ別のメディアの作品であっても、同一作者だという意識があれば、つい比べてしまうのが人情。しかも、テーマもキャラ割り振りもかなり近かったしね、『ナウシカ』と。
何せもう、比べる相手が悪すぎる・・・。

でも!
でも、相変わらずキャラクターの表情は絶品でした。
アシタカ!惚れそう!声もいい!
サンもエボシもトキも、全員にちゃんと生きた表情筋があって、確実に動いてる。大きな表現じゃなくって、ほんのちょっとした目の動きや頬の上げ下げ、唇の動きで色んな事を伝えてくる。テレビでご活躍の女優さんたちに、是非オベンキョウして頂きたいくらいの美しい顔面筋肉でしたわ。
多分私、アシタカとサンの恋物語という観点からもう一度観たら、きっとこの二人の表情にグラグラと揺さぶられてしまうでしょう。『ラピュタ』の、偵察艇のシーンにおけるパズーとシータの瞳にノックアウトされた時みたいに。
水の表現もとてもとても奇麗。
宮崎アニメで個人的に最も好きなのが、この“水”なんですが(『カリ城』の時からずーっと。どうかすると、“飛行”よりも好きかもしれない)、今回も全開でしたね。シシ神様の湖の美しいこと!最初のところ、アシタカの旅程で出てくる沼地の水面のさざなみ具合も、素晴らしいとしか言いようが無い!

期待に違わぬ映画だったと思います。
テレビ放映されたら、絶対ノーカットで録画して永久保存版にして最低でも3回は観ます。
コストパフォーマンスも、
150%

を差し上げたいと思います(安かったし。でも、正価で観たとしても120%は出す)。
ただ、本当にこれ書くのツラいんだけど、どうしても『コミック版ナウシカ』と比べると詰めが甘い。
そして、どうしても比べざるを得ないほどに『ナウシカ』との共通項が多い。

・・・という訳で、にしたにの超個人的アニメ映画ランキングの中では、
トップ5には入るが、『天空の城ラピュタ』だけは超えられなかった
という位置づけになる映画でしょう。
ここまで読んで下さって、しかもまだこの映画ご覧になってない方。是非行って下さい。1800円払う価値も、炎天下に並ぶ価値もきっとあります。
ついでに、帰りに本屋さんによって、岩波の『くらやみの谷の小人たち』という本をお求めになると、より胸に突き刺さるものが大きいと思いますよん。にしたにオススメの参考図書です。読んでみてね。



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