ラブコンプレックス

    間口狭ッ!
    という訳で、
    “視覚的に不快なシーンを抜きにしても、ドラマはここまでカルトに出来る”
    という1つの例ですな。死体も腐乱系物体も画面のジャミングも何も無いのに、思いっきり視聴者を選ぶカルトっぷり。『踊る大捜査線』でカルトとメジャーとの両立という荒業をやってのけた君塚氏ならではの、冒険心あふれる脚本といえましょう。
    いきなりラストシーンというケレンの効いたスタート。しかも、飛び降りてるし。うーん、これは一体どういうコトだ・・・と思ってしまう段階で、すでに術中。うはは。

    「待ってたー」
    「なんでですか」
    「オマエと並んで歩くと格好良いから」
    ・・・楽しそうね唐沢サン。ああいうヘンな役、好きそうだモンなぁ。
    嘘吐きで色事好きで男尊女卑な人格破綻者を、ヘタなテレや衒い無しに真正面からずばずば演じておられますが。や、このテの役はこういうアプローチが正解だと思いますわ。ヘタに捻ると、誰も付いて行けなくなってしまう可能性がありますからねぇ。
    デフォルメの効いた“ワルイヤツ”を更にデフォルメされた演技で見せることによって、キャラクターの持つアクをうまく相殺しております。唐沢さんがギリギリの所で生々しさを抜いてコメディタッチに仕上げているので、ドラマ全体の“笑える>不快”のバランスがすぱっと嵌まりましたな。

    今回は、唐沢氏のサブで登場のソリマチ。
    『チープ・ラブ』の時にも思ったんですが、どうもこのヒト、男性と絡んだコンビ芸の方が、持ち味が活きますな。ついでに言えば、主演として全部背負って肩肘張っているよりも、この辺りの位置でツッコミ役をやった方が断然いい。主演だと、どうも暑苦しくって(笑)。
    あちらこちらで唐沢演じるゴウに振り回されて困惑する、マザコンのアユちゃん。インパクトは薄いが、初回、ストーリーテラーとしての働きは必要にして十分でございました。

    で、アユちゃんの母親役は江波杏子サマ。流石の貫禄で、『独身生活』の馬渕晴子サマを思い起こさせる熱演でございます。逆らえないよなぁ、確かに。

    マザコンといえば、『オトナの男』では香川京子ママにべったりだった段田さんが思い出されますな。ここしばらく、すっかり“大石静”専属俳優と化してたんですが。あぁ、こんなお姿はお久し振り、って感じがしますわね。銀縁の眼鏡を光らせる、挫折には弱そうな線の細いエリートジュニア。一時期、『踊る・・・』のアレで筧さんにお株を奪われるかと思ったんですが、そんな筧サンがあっという間にあんな感じですんでね。無事に復活重畳至極と申しましょうか何と申しましょうか。朝ドラと平行での御出演ですが、こちらの出番はかなり少ないご様子なんで、特段問題は無いでしょう。時折出てきて画面を締めるには、なかなか良いキャスティングなのでは無いでしょうかね。

    木村佳乃にクールビューティは似合いませんわ。せっかくりょうちゃんだの小雪ちゃんだのといかにも怖そうなのばっかり揃えてるのに、画竜点睛を欠くというかツメが甘いというか。何せ、喋り方が舌足らずでらっしゃるでしょう。それでなくとも、前枠の『スタイル!』で戸田サマの見事な滑舌を堪能してしまった後ですんでね、どうしてもあの喋り方が隔靴掻痒というか微妙に苛々するというか。
    ただ、同棲(?)相手の売れないコメディアンをサディスティックに苛めるシーンでは、ある意味かなりいい味が出ておりました。能面笑顔はなかなかにお似合い。

    で、木村佳乃以外のキャスティングはどこまでもシャープ&クール&ヘン。特に、小雪のイジワルっぷりは心境著しいというか何というか、実に御立派でございます。ダイエットに異様な執着を燃やすあまり、休憩時間のたびに怪しげな(「おねえさま、ご存知?」でお馴染み、叶姉妹のDHCか?)タブレットを大量に摂取するというキャラクターですが。りょうとの廊下でのミニバトルも、
    「おぉ!意外と負けてないじゃない!」
    と見応えがあり、今後に期待が持てそうな雰囲気がございます。
    りょうのヘンタイっぷりは既に定評ある所ですが。高橋ひとみお姐様、西田尚美チャンや伊東美咲嬢もバランス良くいい感じ。しかも、いざ事が起こるとなると一致団結してそれなりに有能に働いちゃう・・・という描写もなかなかに面白うございました。ま、初回の今夜起きたトラブルを回避する手際は、どことなく『ショムニ』を思い起こしましたが・・・。
    ロボット的な有能さの中にちらりちらりと見え隠れする“ラブ・コンプレックス”。機械のカバーを外したらその中に筋肉が波打っていた・・・というような不気味さが、実にカルトですな。セリフと演技だけで、よくぞここまで・・・と拍手を贈りたい気分です。

    様々なコンプレックスを持つ、男嫌いの7人の女秘書。この中に潜む横領犯を取り押さえろ、という密命を受けて乗り込むのは、人格破綻者とマザコン男。かくして、男と女の闘争が幕を開ける・・・というストーリー。そういえば、“男女間の意識格差”という点においては、『スタイル!』と似てますな。世界観が全く違うので、同じ日の放送でもさほど気にはなりませんが。
    しょっぱなから、様々なギミックを駆使して耳目を集めて見せようという気合バリバリの君塚脚本。サスペンスでもあり、コメディでもあり、もしかするとラブストーリーの要素も出てくるかも知れず、デフォルメした風刺もあり。
    ん、素直に術中にハマるだけの体力と単純さがあれば、十二分に楽しめますわね。ちょっとした小技も良く効いているし、演者の方もよくこの脚本に食い下がっておられます。
    ただ、脚本のギミックに追いすがろうとして演出のケレンが強くなりすぎるあまり、見る人をかなり選んでしまう間口の狭さはありそうですが。予告を見る限りでは、次回なんだか『アリー』っぽいCGまで出てきちゃうみたいでちょっと心配。現場が盛りあがるのは良いけれど、内輪で行き過ぎるのもほどほどにしておかないと・・・。ま、逆に、行くところまで行った挙句、3年後くらいにカルト・ドラマとして再評価される・・・というパターンもアリなんでしょうが。
    しかし、素直に言えばワタシは好きですな、こういうの。何せ、腐乱死体のヒトツも出てこないのに、妙にブキミだし<何故腐乱死体にこだわる。

    得点ポイント。
    久し振りの風祭ゆきさん。74点加算。
    減点ポイント。
    主題歌がソリマチ。87点減点。
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教習所物語

    このクール、若手男性主演不在(もっとはっきり言えば、SMAP不在ですな。前のクールに中居を除く4人が全員ドラマレギュラー持ってましたからね)なせいか、全体的に主要キャストの年齢が高いんですが。その中でも、特に年齢を引き上げているのがこのドラマ。
    これ、以前スペシャルドラマでやったヤツですよねぇ。見た記憶あるぞ、ワタシ。
    正直いって、SPで見た時には、起承転結が時間内にきっちりまとまった、なかなか面白いドラマだと思ったんですが。いくら評判良かったからって、今更連ドラに引き伸ばされてもなぁ・・・。確かに教習所というのは、ドラマにするには面白い素材なのかも知れませんが。

    様々な事情で、“日本一甘い”と評判の教習所に免許を取りに来たダメダメ7人衆。
    しかし、公安委員会からの公認取り消しという危機に直面したその教習所では、建て直しと利潤追求とのせめぎあいの結果、“落ちこぼれクラス”を設立してそこに鬼教官をあてがうというプランが発動していた・・・『上品ドライバー』にもありましたよね、同じ系統の話が。

    揃えに揃えたキャスティングの濃さが、んもう堪りません。平均年齢が妙に高めなのは、このクール全体の特徴といえば特徴なんでしょうが。
    植木等と藤村俊二のツーショットを見ることが出来るだけでも“大もうけ”という気分があるのに、益岡徹と田口浩正と山崎銀之丞がワンフレームに入ると言うステキっぷり。脂っこいなぁ(笑)。胃もたれしそう。
    銀サマは『金八』繋がりで武田鉄矢とまたも共演ですが、金八センセイが全く逆のキャラクターになっているのに比べ、ほとんど変化の無いテンション高めの役どころですな。売れない小劇団の座長兼看板役者ということで、初回は緑の爬虫類スーツで気持ちよく見得を切っておられましたが。とりあえずこれって、どう考えても
    「初めに銀ちゃんありき」
    の設定ですわなぁ。怪我の功名(?)で、“追っ掛けのオンナノコ”という新キャラまで捻り出すことが出来た訳ですから、万々歳というヤツでしょう。とにかく、元ネタが2時間ドラマなのを無理矢理12回に引き伸ばそうってんですから、キャラクターは(話が拡散しない程度には)多い方が良い訳で。

    武田鉄矢の持ちネタの1つに、
    「クラブでホステスのおしりを触ったら、『金八先生はそんなことするヒトじゃないッ!』とホステスに号泣された」
    というのがあるんですが。
    今回の超いい加減男・阿部玲児役は、いかにもホステスのおしりを撫で回しそうなバカ親父。酒と綺麗なオネェチャンに弱くて、良くも悪くも人の輪の中心になってしまうタイプ。多分にデフォルメの強い、大げさな芝居なんですが・・・キャラクターそのものと相俟って、流石に安定感のある演技ではございます。

    水前寺清子に谷啓と来て、色を添えるのが上原さくら・・・、という辺りに至るまで、金曜9時というよりは東芝日曜劇場的キャスティングですが。完全に同じトーンで統一している陣形なので、ドラマ全体のバランスは大変に良好です。どう見せたいのか、何を伝えたいのか、どの辺りの層をを視聴ターゲットにしているのかがもの凄く明確なんで、事前情報から判断して楽しみにチャンネルを合わせた類の方たちを裏切ることは決してございません。ただし、
    「あ、こういうの苦手系かも」
    と思った方々の予想も裏切りませんが。

    しかし、主題歌は凄いぞ!ファンキー(死語)だぞ!強烈な爆発力にクラックラでございますわ。
    チーター節満載の武田鉄矢とのデュエット・『いきてゆく物語』。イントロに、チーターの♪イエイッ!♪という豪快なシャウトが入ると言う珍曲だ!ドラマは見なくてもいいから、是非これだけは皆さまに御一聴頂きたいと切望する次第でございます。
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真夏のメリークリスマス

    ベタなラブストーリーも1つぐらい入れておかないとね、というコトなんでしょうか。いかにもTBSの金曜10時らしい、しっとりとした雰囲気の恋愛劇でございます。しかし、『真夏のメリークリスマス』ってタイトルはどうかな。いくら何でも。

    竹野内豊。
    そこそこワイルドでそこそこ3の線で、真っ当には生きられないけれどワルにもなり切れない男、樹下涼。元々、根の暗そうな二枚目から挫折に弱いエリート坊やまで、ルックスの割には実に幅広いレンジを持つ俳優さんなんですが。こういう中間色のキャラクターにも充分対応出来るという所を見せてくれたのは大きいですな。
    ただ、相変わらずセリフが聴き辛いなぁ。口をあまり開かずにボソボソ喋れば巧そうに見える、って誰から教わっちゃったのかなぁ。それって絶対間違いなのに。『氷の世界』よりは大分マシですが、やっぱりもう少し明確にセリフ喋ってもらわないとどうも聴き辛い。このクール、堤真一三上博史江口洋介本木雅弘唐沢寿明(ホントに平均年齢高いね)と、滑舌の綺麗な主演男優が目白押しなだけに、週の終わりにこの台詞回しはちょいと厳しい感じが致します。

    受ける中谷美紀が演じるのは、島育ちの純朴で純粋な星野波流、24歳。世間知らずで前向きでちょっとピントがずれていてファッションセンスがダサダサで・・・という辺り、基本設定が完全に『ケイゾク』柴田と被ってます。いかにも、中谷美紀本人の苦しい努力で差別化している感じ。折角、彼女にしては珍しく捻りの無いラブストーリーなんだから、もうちょっと別の役にしといてあげれば良かったのにねえ。気の毒に・・・。
    ただ、それでも充分演じちゃうあたりの器用さがまた中谷美紀らしさなんでしょうが。しかし、回を追うごとに苦しくなって行きそうな厭な予感がいたします。とりあえず、ここ数年の中谷美紀歴の中では、ダントツに可愛く似合っている髪形が拾い物でしょう。

    加藤あいちゃん、携帯の着信ワタシと同じよ(笑)。波流よりも一足先に東京に出てきた、女優志望の17歳。波流には何故か“ブスブス”という愛称で呼ばれている美少女、赤座夏見役。
    決して下手という訳でもないし、年齢の割にはかなり堂々とした芝居をするあいちゃんなんですが。しかし、『IWGP』以来どうも役どころが固まりつつありそうなのが心配されるところ。DocomoのCMでも、先日のスペシャルドラマ『ナニワ金融道』でも、似たようなキャラクターでしたからね。そろそろ、『ベスト・フレンド』みたいな繊細でひりひりとした少女役も見たいなぁ。

    そう言えば。ま、大した話では無いんですが・・・美紀嬢とあいちゃんのツーショットシーン、互いの演技のベクトルが違うせいか、どうもちぐはぐというか息苦しいというか。仲良しこよしの擬似姉妹関係、という設定なんですが、画面からそこはかとない緊張感が漂ってまいります。うーむ。
    この“どことなく噛み合わない感じ”、各人がそれぞれに確固たる演技スタイルを持っているからこそなんでしょうねぇ。今後、竹野内豊を巡ってどろどろしそうな二人ですんで、どうせならこのままちぐはぐぶりを残して先に進んだ方がよいのかも知れませんな。

    ついでに(失礼!)脇役陣も手短に。

    大杉漣さん、この枠以外に出ること無いの?きっと引く手数多なんでしょうから、無理して操立てる必要も無いでしょうに。『Friend』に続けての登場でございます。しかも、この枠だと何となく似た役多いしなぁ。確か、『独身生活』でも、口当たりソフトな癖にダーク、という役やっておられませんでしたっけ。もう少し別の枠で別の芝居も見たいんだけど・・・。

    深沢邦之、ついに本格的に役者進出。養護施設で育ったことにコンプレックスを持つ弁護士・愁一という役どころ。どうしても、
    「家でオクサンにお芝居付けてもらってるんだろうか」
    等と余計なコトを考えてしまいますが。
    初回、あまり出番が無かったせいもあり、可も無く不可も無くって感じですかね。うーん・・・こういうポジションって、常にお笑いか若手劇団系が占めるわけなんですけども。もう少しきっちりとお芝居が出来る人を入れておいてもよかったんじゃ・・・?などともちらりと。や、ヘタクソとまでは言いませんけどね、やっぱり、周りが中谷美紀だの山田麻衣子だのという芸達者ばかりですから、少々見劣りしてしまうのは否めないわけで・・・後半に向かっての健闘(と奥さんの薫陶)をお祈り申し上げます。ハイ。

    山田麻衣子ちゃん、お綺麗になられて。涼や波流、夏見と同じ養護施設で育ち、裕福な家庭に引き取られた晶子役。初回はほとんど登場が無く、まだキャラクターの立ち具合も無いんですが。出世作『青い鳥』同様の“多分に屈折がある養女”という設定を、暗い美貌で存分に見せてくれそうです。しかし、テレビ情報誌の人物相関図で、深沢邦之とラブラブマークで繋がっていたのはちょっと違和感が。いくら何でも深沢邦之・・・(田中美佐子に失礼です)。

    で、これはコメディなのか?ラブストーリーなのか?何なのか?1つ1つのシーンとしては面白いものもあったりもするんですが、切なくしたいのか笑わせたいのか泣かせたいのかが判らないせいで、どうしても中途半端な感じが。
    初回今夜のラストシーン、竹野内豊演じる涼が二人の想い出の絵を高々と掲げて見せるシーンは、かなりぞくぞくっとしましたが。しかしなぁ、その他のシーンがどうも統一感無くて。田中美佐子のダンナと山田麻衣子は妙にシリアスだし、竹野内と杉本・美紀嬢とあいちゃんのシーンは軽くてコミカルだし。
    『ビューティフル・ライフ』を手がけたスタッフが贈るラブストーリー・・・というふれこみなんですが、何故か演出は『QUIZ』でおなじみ今井夏木がメイン。脚本も持ち回りで、その中の関えり香サンがやっぱり『QUIZ』組。
    初回こそ、キャリア充分の生野慈朗が手がけた手堅い映像でしたが、これからどんな脚本・絵面になってくるのかという辺りは、多少の興味が持たれる部分かも知れません。このまま統一感無く主演2人の存在感だけで突っ走るのか、それとも植田P主導のもとに後半急速に話が転がり始めるのか・・・とりあえず、最初数回が気に入らなかった方も、12月に入った時点で再チェックしてみることをお勧め致します。もしかすると、トンでもないコトになってるかも知れん。

    しかし、(今更ソリマチとタケノウチをセットで語るのもナニなんですが)どことなく『チープ・ラブ』に似てるなぁ。うん。
    波流にふさわしい男たるべく悪事から足を洗おうとあがく涼が、結局最終回に大杉連サン辺りに殺されちゃう・・・とかってオチは無しよ。前クール同枠の『Friend』の終局(濱ちゃんが死んだ。実によいラストだった)があまりにもしみじみといい出来だったんで、似たような終わり方をした場合はつい比較されてしまって損だと思いますが。

    見所は、何といっても美しいタイトルバックでしょうかね。珍しく(?)幸せそうな美男美女の主演2人が、美しい空と海の下で戯れるという映像は、これぞTBSの面目躍如といった感じ。ま、CMでじゃんじゃん流れたんで、見飽きたといえば見飽きた感じもありますけども。
    あぁ、それにしてもいかんイカン。子供時代の涼ちゃん役の子が可愛いくってイカン<何がイカンのか良く判りませんが。もっと回想シーン増やして暮れないかなぁ<おいおい。
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スタイル!

    中古ジャニーズ救済枠(笑)。
    ワタクシにとってこのテレ朝木曜9時(厳密には8時54分ですが)というのは、『愛しすぎなくてよかった』(ヒガシ)『恋愛中毒』(オカケン)と、かつてジャニーズで一世をを風靡したアイドル達がやたらと主演する枠として認知されているんですけども。あぁ、その内タッキーなんぞもこの枠に下げ渡されて来るんでしょうか。悲哀。

    ・・・と、放送前はかなりうら淋しい雰囲気を予測していたんでございますが。
    案に相違して、枠的に予想されるような哀しき貧相さは、思ったほど酷くはございませんでした。むしろ、ちょっとどうかすると、まぁ7年前くらいのゲツク程度には見えなくもありません。テンポが良くて軽妙で、先の見えている展開とはいえ、
    「で、この先どうやってオチまで持ってくるんだろう?」
    という興味もそこそこ引きつける話運び。
    脚本の田淵久美子サンは、『ニュースの女』『ブランド』など、いわゆる“職場群像系”のキャリアが豊富でございますからね。ストーリーの転がし方、かなりコナれた感じです。画作りも、往年の(それこそ、モックンが“モックン”としてブイブイいわせていた頃の)トレンディドラマのような、明るくメリハリのある撮り方。新味は全くありませんが、全体的に
    「小ぢんまりしたトレンディドラマ」
    という感じでまとまっていて、悪くないです。えぇ、かなりワルクナイです。

    何よりのポイントは、戸田恵子おねーさまがキャストの軸になっている部分でしょうか。
    口説はっきり口跡くっきりのすばらしい台詞回しで、ドラマの通低音たる“男性VS女性”の構図を浮かび上がらせてくれるお芝居は、もううっとり拝見する他ございません。戸田サマのキャラクター造型力ももちろんの事ながら、戸田サマにこういう台詞を渡してこういう芝居をさせる、というスタッフ全体の判断に拍手。かなり“ありがち”な役とはいえ、ここにはズバリ戸田恵子!という絶妙な配置のおかげで、ドラマ全体がしっかりと引き締まっております。これが、思ったほどこのドラマが安っぽくなっていない主要因かと。

    更にいえば、他のキャスティングも爆発力はともかく地力のある面々でございますんでね、想像以上にきっちりまとまっておりますわ。
    竹内結子ちゃん。前クールの『Friend』に引き続き、路上でゲイジュツ系に手を染めている女の子役。どうも、普通の女子大生とかそんなのが似合わないタイプなんでしょうかね。しかし、明るくハキハキとして若さゆえの猪突猛進をしてしまう女の子、実に安定感の高い芝居っぷりでございます。挑戦や冒険は無いかも知れませんが、うまくまとまっていい感じ。

    お箸の上げ下ろしが美しい本木サン。仕事も出来て女にもモテるパーフェクト・マンが、ちょっとしたきっかけからトラブルにまみれてしまう・・・というコメディを、実にさくさくと演じておられます。
    狂気を演じると、本人が芝居を楽しむあまり、見ている方はちょっと引いてしまうような過剰な演技をしがちなモックンなんですが。いやぁ、ことコメディとなると、肩の力が抜けてかなり程好い雰囲気でございますな。
    役者というものは、深いキャラクターを演じる時には、どうしても自分の実生活や人生を投影しなければならない部分が出てくるんでしょうが。こういった“底の浅い・トレンディドラマ風の”役どころだと、完全にオノレと分離させられる分、かなり気を楽にして芝居している様に見うけられます。ストーリーがストーリーだけに、この“抜け具合”が見ている側にも丁度良く、心地いい訳で・・・こちらも、まさに“小ぢんまりとまとめて”きたという感じでしょうかね。

    珍しくいい役だ、佐野史郎。また途中から思い通りの方向へ行ってしまうんだろうか・・・どうせなら、「いつヤルかいつヤルか」と期待させつつ最後まで“いい人”を貫いて裏切って欲しいなぁ。
    しかし、初回は写真だけの出演だった村上里佳子が、この先佐野史郎と本木雅弘の間で悶着のタネになりそうな・・・ああ、折角巧くまとまっているんだから、ヘタに村上里佳子程度で引っかき回さない方がいいんだけどなぁ。

    坂井真紀、気付いたら30。そろそろ、“元気一杯のマニッシュなショートカット”も苦しくなってまいりましたなぁ。
    かつてこの枠で主演(『てっぺん』)したこともある彼女、今回は2番手ヒロインと言う役回り。『世紀末の詩』での微妙なコケ以来、何をやっても精彩を欠く感が抜けませんが、今回も竹内結子と戸田ねーさまに持って行かれちゃってます。珍しく、“過去の恋に引っ掛かりを持つ大人の女”という役どころなんですが・・・うん、ここが一番ムズカシイね。最もコケ率の高そうな位置。
    ただ、さすがに“2番手ヒロイン”というポジションなだけに、“坂井コケたら皆コケた”にはなりそうも無いところが、ある意味絶妙な配置というか何というか。ここでこけても、モックンに累が及ぶ前に戸田サマ辺りで立派に食いとめられそうだもんなぁ。・・・となると、何故わざわざ坂井真紀・・・?

    細長い佐藤康恵チャンもドジばかりの星野有香チャンも、要求されるポジションなりのいい演技。ちょっとイロモノを、という位置付けでの起用は、海砂利水魚有田のオカマ芝居がこれまた浮かず飛び出さずヘタ過ぎずの良い湯加減。
    大筋は、モックンを巡る男と女の“意識格差”なんでしょうが。“精鋭揃い”とは名ばかりの吹き溜まりメンバーによって新設された部署を、3ヶ月以内に“うちの会社にはここが必要だ!”と上層部に認めさせないと、部署は即解散・・・という、非常に判りやすいタイムアタックも筋に折り込まれており、素直に楽しむ分にはかなりいいドラマだと思います。
    ただし、枠が枠だけに、初手からの「食わず嫌い」もありそうで、視聴率的には苦戦しそうかな?

    そういえば、不祥事からどさくさまぎれにじわじわ復活してきたなぁ坂東英二。モックンの上司の佐野史郎のそのまた上司役で、ニコニコご出演中。結局『世界ふしぎ発見!』のレギュラーも降りなかったし・・・で、あの金銭トラブルは結局どうなったんだっけ。


オヤジぃ。

    なんだか勘違いしてる。
    田村正和の使い方をマチガッテイル。
    製作側としては、『パパはニュースキャスター』の夢よもう1度、という感じがあるんでしょうけれど。しかし、基本設定がマチガッテイル。大きく。

    正和サマに関して言えば、“スタイリッシュ”が大前提な訳で。で、彼をコメディに嵌め込む場合には、
    1.“スタイリッシュ”な彼が“スタイリッシュではない事態”に巻き込まれてしまう(『パパはニュースキャスター』『うちの子にかぎって・・・』)
    2.確かに“スタイリッシュ”だがその“スタイリッシュ”の基準がどうにもズレている(『古畑任三郎』)
    の二つのパターンが考えられるんですね。これを外すと大変なことになる、というのは既にフジ『じんべえ』で判っているべき事なんですけどねぇ。
    テンション高く喋り捲るガンコな父親(しかも東大コンプレックス有り)という役どころは、基本的に線が細くてある種癇性な正和サマにはどう引っくり返っても似合わない訳で。これは、演技力がどうのこうのという問題では無いんですけどね・・・でも、いくら正和サマが頑張ってガンコっぷりを押し出しても、声が甲高いせいもあって、妙にヒステリックに見えてなぁ。おまけに、こともあろうに石田ゆり子に、石田ゆり子に鼻の下を伸ばすに至っては、
    「凋落!」
    という雰囲気がじわじわっと。

    ただ、とりあえず“正和”ブランドへの対応という位置付けがあるせいか、若手の揃え方がなかなかにツボを心得てるのは見事かも。水野美紀広末涼子岡田准一と、とりあえずどちらを向いてもソツのないキャスティングですわ。

    バブルが弾けて、ある意味ようやく正当評価位置に着地した広末涼子。フラットに見ると、確かに芝居はそう悪く無いんだよね、ヒロスエって。前クール、世間の「うっそー」という叫びにもめげずに“心臓病の儚げな美少女”を演じきった彼女ですが、今回はオツムが軽くてこらえ性の無い短大生。いきなりの結婚宣言で家族の度肝を抜きつつ、「結婚するまでは・・・」と手を出さないカレにちょっぴり不満を抱く今時のオンナノコ、というキャラクターでございます。台詞回しなどの点においては比較的作り上げ易い役だと思うんですが、ま、それを差し引いてもきっちりドラマの牽引役を果たしているのは立派。
    ある意味、彼女の弾けっぷりにストーリー展開の成否がかかっているだけに、この位置でヒロスエがしっかりとした働きを見せているのは八木Pも心強い限りでございましょう。

    働き者の水野美紀サマ、連投ながら久し振りのお姫様系ですな。出たての頃は、可憐で物静かな白雪姫のようなキャラクターが多かった彼女。ここのところ地金がハゲて生来の明るさが表に出た格好で、元気一杯のキャラが中心でしたが、今回は久し振りに白雪姫系美人役。ヒロスエ演じる次女のすずとは逆に、人生になかなか弾みの付かない優等生長女・・・というキャラクターで、
    「全国の長女のキモチを代弁しますッ!」
    とは美紀嬢の弁ですが。しかしやっぱり、綴ちゃんや弥生さんの元気イメージが抜け切れないせいか、どことなく窮屈そうに見えてしまいます。一応、後半戦で大事件を巻き起こすという設定にはなっているようですが・・・そこまで美紀嬢の忍耐力が持つかどうかが、1つの裏見所かも知れません。

    そして、そんな美紀嬢と短い期間にやたら共演しまくっている黒木瞳サン。ついに親子役とは・・・そりゃ、難しいわなぁ。正和サマの相手役ならそうそう老けた女優サンは使えないし、かといって長女が水野美紀となると・・・この役を引き受けた黒木さん、“仕事選ばず女優”の面目躍如といった感じではございますが。ただ、一応というかやっぱりというか、黒木サン演じる美矢子は“年齢不詳”という設定。テレビ情報誌のドラマページでも、美矢子だけ年齢が空欄になっております。
    まぁ、いつまでも老けないお母さんといえば、『八神君の家庭の事情』(な、懐かしい!)を初めとする漫画界の常道ですからね。ドラマ的虚構と割り切って見れば、さほどは気にならないかも知れません。

    それにしても矢沢心の事務所ってアレか、何でもありなのか。あまりにもリアルなガングロコギャルメークに、ビックリ仰天でございます。本人の顔が全然わからない・・・あぁ、ニュースで見るシブヤギャルとおんなじ顔してる。
    思わず岡田准一も「オマエスゴいなぁ!」と呆れてしまうような強烈メイクで、素顔がさっぱり判りません。あれじゃ、矢沢心を知らないヒトばかりか、知っている人でも
    「え?心ちゃん出てるの?」
    って感じなんじゃ。いやぁ、ホントにガングロヤマンバメイクって見事に個性を塗りつぶすんですなぁ。ある意味感心。

    極楽とんぼの加藤。
    『パパとなっちゃん』のDT濱田を想起させる起用なんですが(や、極楽とんぼが東芝の電球のCMをしている繋がりってのもあるか)、やっぱりどうしても資質の差が。確かに、コントと演技のすき間ってのは、直線距離で行くと非常に短いんですけどね。しかし、その間には深くて暗い谷間があるんだよねぇ。
    本業のお笑いでもいっぱいいっぱいなのに、いきなり田村正和との共演でドラマを振られても・・・という困惑が、挙動の端々に滲み出ております。おなじお笑いでも、雨上がりの宮迫の気迫とはちょっと違うような感じかな。

    東大卒・年収1200万円のいい男、及川光博。しかしカレの場合は、こういう役よりもむしろ、本人のキャラを逆手に取ったダサ男クンの方が味わいが出るような。『晴れ着、ここ一番』のクラゲ愛に燃える青年が好演だっただけに、今ひとつ見せ場の無い“ヒロスエの婚約者”役はファンにも本人にもストレスが溜まるかも。やっぱりカレの場合、
    「あぁ!これぞミッチー!」
    とうっとりさせてくれるか、
    「えぇっ?これがミッチー?」
    とビックリさせてくれるかを求めてしまいますんでねぇ。初回を見る限りでは、誰が演じても同じキャラクターだけに、回を進めるうちにもう一味ニ味加えて行って欲しいものです。

    ストーリーは、基本的に「お帰り、正統派東芝日曜劇場」という感じですな。
    ここのところ、『催眠』『ヤマダ一家の辛抱』など、ちょっとチャレンジングな企画が多かったこの枠ですが。久し振りに、家族全員でのんびり見ることの出来る、軽い味わいのコメディとなっております。じっくり見る、と言うよりは、晩御飯食べ終えて明日の月曜日に思いを馳せつつ、ちょっとのんびりまったりしながら居間で流し見るドラマ。そう言えばゲツクも王道に戻ってきましたし、このクールは“原点回帰”がキーワードなんでしょうか。

    どうでもいいけど、看護婦役の今井陽子サン、このクール大安売り中ですな。ナースにスッチー(『やまとなでしこ』桜子の同期役)と、同一クールで2大制服を制覇するというのはかなり珍しいケースでしょう。今後の頑張りに期待。


愛人の掟〜あなたに逢いたくて

    何が気に食わないって、最も気に入らないのが原作者の梅田みか。
    愛人の時に『愛人の掟』などという訳の判らない本を出して儲け、寺田理恵子から見事にダンナを略奪して出産したかと思えば、
    「結婚してみたら思ったような人じゃなかった」
    と芸能週刊誌に手記売り込んで離婚。
    「家にお金を入れない、子供を可愛がってくれない、ほとんど家には帰ってこないし時には暴力も」
    って・・・家庭をそうやって投げ捨てて外でフラフラしている男に引っかかったのは自分でしょ、って。ワタクシごときの若輩モノがヒトの生き方とやかく言うのはどうかと思うんですが、それにしてもどういう人生なんだか。で、またこうやってのうのうとドラマ化してしまうという辺りがどうにもワタシの感性とそぐわないために、初手からやる気が無かったんですが。

    そんなワタシの嫌悪感を更にかき立ててくれちゃうのが、“4月までの我慢”こと水野真紀。
    なんか、ヘタクソさが加速してませんか?表情も大仰だしセリフもたどたどしいし、肩に力入りすぎだしやたらとびっくりしたような顔ばっかりしてるし。『隣人は秘かに笑う』の頃って、彼女ここまで下手でしたっけ?びっくりするような大根ぶりに、
    「もういいから早くお料理の世界に飛んで行って頂戴」
    と懇願したくなってしまいますわ。
    髪型がヘンなのかなぁ。寝不足なんだか何なんだか、初回の今夜はやたらに顔全体が腫れぼったいんで、妙にオバさん臭く見えます。これじゃどう考えても、不倫相手の本妻役である純名里沙の方が、よっぽど可愛いし魅力的なんですけど。そういう部分も含めて、“理性では判断のつかない恋=不倫”というコトを言いたいのかな?そういえば、女性側にしたって、既婚石黒賢よりも独身細川茂樹(しかも出世コース)の方がいいと思うんだけどなぁ。うーん。

    石黒賢、先日まで再放送されていた『危険な関係』での悪役があまりにも堂に入っていたので、今更人の良さそうな男性を演じられてもおもわず苦笑してしまうんですが。こともあろうに水野真紀との“純粋な不倫愛”ということで、なんだか昼メロ的な安っぽさが芬芬でございますわ。仕事選びなさいよ、といいたいところですが、そんな余裕があるようにも見うけられませんしねぇ。気付いたら神田正輝、みたいなことになってしまっても困りますから、とりあえず目の前にあるお仕事に全力投球というヤツですか。

    実は、このドラマの存在をすっかり忘れていたワタシ、11時から、裏番組の『アリーmyラブ 3』を思いっきり楽しんでしまっていたんですね。途中で気がついたので、何とか後半の水野真紀の大根芝居は見ることが出来たんですが(いっそ気付かなければよかった、という心の声は無視)。
    なので、肝心の(肝心の?)京晋祐サンがいかなるご活躍をなさったのか、思いっきり見はぐれてしまったんですわ。それだけは痛恨。
    ノーブルなお顔立ちの京サマですから、基本的には専門職(医者とか)がお似合いなんですが。今回は、石黒賢の同僚で銀行マンだとか・・・あぁ、見たかったなぁ。わざわざこのドラマを見るつもりにはなれないけど、京サンのトコだけ見たい。うう。