ムコ殿

    実は、先日友人に頼み事をされてしまったんですが。御要望にお応えしたいと思う気持ちはあるものの、どうもワタシの気持ちの流れがご期待には添えない方向に向かっていた訳で・・・。
    “頼まれ事”というのは、他でもございません。
    「僕のお気に入り竹内結子チャンを、この欄で誉めてやってください」
    という事。うーん・・・竹内結子チャン、竹内結子チャンねぇ・・・。何せ、前回『白い影』のキャラクターがあまりにも酷かったからなぁ。
    「特別美人ではないけれど、一生懸命健気ケナゲに尽くす事でムリ目の男に愛される資格を得る」
    というベタなキャラは、少なからず世の女性の反感を買ったのではないか、と。
    大体、“一生懸命”な愛情の押し売りは、ハタから見てると苛々するんですわね。恥も外聞も無く男に突っ込んでいく姿勢って、なまじプライドが邪魔してそういう“恥ずかしいコト”が出来ないタイプの、いわゆる“社会常識のある女性”にとっては、腹立ちの対象にしかなり得ない訳で。ところが困ったコトに、若い女性にファンタジーを抱きたいと願う4〜50歳代の男性は、逆にこういうの好きなんですよね・・・また、そういう世代って、なまじカネやチカラ(決定権)を持ってるからな。ちょっと清潔感のある可愛いタレントを見付けると、すぐこういう“健気”な役をやらせたがるんだよなぁ・・・。

    という訳で、『白い影』の竹内嬢をどうしても応援することが出来なかったワタシとしては、今回どのように書いたら良いかと大変心配していたんですが。
    ・・・竹内嬢、どういう訳か妙に影薄いです。
    事前の情報では、またもや女性受けの望めなさそうな、
    「家事が得意でたとえ日陰の女になっても健気に男に付いて行く」
    というキャラクターだっただけに、あまりにもケナゲが前面に出過ぎると、好感度更にダウン・・・という憂慮があったんですが。周囲の濃い目のキャラクターに負けたか、今回の彼女はヒロインにも関わらず、意外にあんまり精彩がありません。このため、『白い影』の時ほどの苛々は感じずに済んで、個人的にかなりホッとしているワタシでございます。
    それにしても、この影の薄さは一体良いのか悪いのか・・・いや、今後の竹内嬢のキャリアのためには、却って良かったのかも知れませんが・・・。

    そんな竹内嬢を霞ませるご一同様。まずは主役の桜庭裕一郎役・長瀬智也。
    こういう役所は、せめて長瀬クラスのアイドルがやらないと、本当に貧乏ったらしい哀しい絵面になりますからねぇ。ま、元々長瀬ありきの企画だったことは想像に難くないとはいえ、“クールで孤独なアーティスト”と“世界一あったかい家庭を作りたい熱いにーちゃん”との演じ分けは、流石に見事なモンでございます。
    確かに、バラエティで見る素の長瀬はどちらかというとオバカ系ですからね。『砂の上の恋人たち』のようにヘンにシリアスにされると、ちょっとむず痒い感じがするんですが。いかにもラブラブな竹内結子との、見るからに可愛らしい組み合わせと言い、今回は非常に自然な雰囲気でございます。彼本来の子犬系の愛嬌が前面に出ており、これはまぁヨロシイのではないかと。

    段田安則サン、ちょっとばかりトンチキだが、締めるところはソツ無く締めるマネージャー・箱崎役。昨日の金田明夫さんもそうですが、憎まれ役の中に独特の愛嬌を潜ませるのは大得意中の得意ですからね。アイドルアーティスト・桜庭裕一郎を厳しく管理しつつも、根底には愛情を感じている・・・というキャラクターを、実に滑らかに演じておられます。
    初回を見る限り、篠原涼子演じるさくら(竹内)の姉さつきと、今後ワンエピソード組立てて行きそうな予感があるんですが。どうせなんだから、あずさ(鈴木杏樹)の方とどうにかなって欲しかったなぁ。
    民放では『ラブ・コンプレックス』以来の段田サン。前作ではどちらかと言えば友情出演レベルの扱いだったので、久し振りにたっぷり段田節を楽しめそうな本作はそれだけで期待大と言えるかも。

    裕一郎(長瀬)を売り出したプロダクション社長役に、つんく♂。コンビ格の段田サンにも助けられ、相変わらず妙にソツの無い立ち居振舞いでございます。おっ?と耳目を引くほどには巧くは無いが、悪目立ちするほど下手でもない、と。特に、掛け合いのシーンでは、生来のリズム感と段田サンの見事な合いの手もあり、なかなかのキャラクター造型でした。でも、別につんく♂じゃなくても良いんだけどね、あの役は。
    しかし、栗原Pとの“裏話コーナー”、あれは一体何?『つんくタウン』繋がりというのは判るんですが、あんまりああいう事をするとドラマそのものが安っぽくなっちゃうような気が・・・止めた方がいいと思うなぁ、アレばっかりは。

    で。
    主人公2人を取り巻く家族どもが、これまた豪華豪華。しかも、見事に芝居巧者ばっかり揃えているんで、無理矢理な展開でもなんとなくそれなりに見えてしまうと言う見事さでございます。とにかく、多少身勝手だったり浮ついてたりはするものの、どこを見ても不愉快な悪党が居ない!昨日の『嫁はミツボシ。』に比べると、その辺が格段の差でございます。
    父親役の宇津井健、可愛い末娘を取られたくない父親ゴコロ、結構なお手前でございました。
    さくら(竹内)の長姉・かえで役に秋吉久美子。まぁよく引っ張り出して来たなぁ彼女を・・・っていうか、もしかして秋吉久美子、単に長瀬のファンだったりして(笑)。調子よくて浮ついてて、芸能人の裕一郎(長瀬)出現にチャラチャラ喜ぶ・・・というキャラクター。こちらも流石にキャリアは伊達じゃない、という雰囲気でございます。
    男嫌いの次姉あずさは鈴木杏樹。どうしてこうこの方、潔癖な役所がビシっと嵌まってしまうんでしょう。ヒトヅマなのに。
    実は密かに自立を狙っているもう一人の姉さつきは、篠原涼子。この方も、相変わらず何の問題も無し。巧さには定評ありますしね。
    最初に強烈なキャラクターを演じてしまうと、どうしてもそれが後々まで響くのは仕方が無いんですが。生くんという激烈キャラを演じてしまったがために、ワタシの中では常に、
    「何考えてるんだか判らんコドモ」
    として認識されてしまう神木隆之介クン。しかし、今回は(それこそ)健気で可愛い少年役を好演中です。ただ、どうも、年齢の割に舌足らず過ぎないか?彼。
    反抗期真っ最中のかえでの長男を演じるのは、嵐の相葉雅紀。そして、彼の憧れの先生役に小雪。
    おまけに、桜庭裕一郎を追いかけるカメラマン(演じるは野村宏伸、多分コイツが問題の“兄”だろう)なども登場する訳で・・・うーん、さすがにこれはちょっと人数多過ぎるような気が致します。野村宏伸も小雪も、初回は顔見世程度のワンシーン出演でしたし、期待の新鋭(なのか?)相葉クンも人数及び濃さにまみれて精彩無し。ストーリーの軸が単純明快なのでまだしもなんですが、それにしたって登場人物が多いため、竹内嬢・相葉クン・小雪嬢あたりが、どうも割を食いそうな予感がいたします。

    ストーリー的には、懐かしいテレ朝の月曜8時枠の匂いが芬芬なんですが。ついつい『嫁はミツボシ。』の不快感と比べてしまい、
    「同じホームドラマならこっちの方がいいわ」
    と思ってしまう相対の悪魔がここにも。後は、しつこいようですが、豪華過ぎる出演陣を脚本のいずみ吉紘がどう捌くか、という辺りが最大の問題でしょう。
    ただ、非常にシンプルでユルい世界観は、もしかしたら夜10時のタイミングに結構フィットするかも知れません。

    そういえば、ポイズン反町・織田裕二・観月ありさなど、主題歌問題については既にさまざまな考察がなされている昨今な訳ですが。このドラマ、主演が長瀬智也で、しかも彼の役所が歌手だというのに、主題歌は松任谷由実!松任谷由実!今更ユーミン!あぁ、なんて素晴らしい。ここにも制作側の誠意を感じずには居られませんわ。この点に関しては、よくやった、と諸手を挙げて賞賛致しとうぞんじます。敢えて『ムコ殿』というタイトルに、『。』も『!』も付けなかった部分もちょっと好感度大かも。

    しかしやっぱり、最後に一言いわせて下さい。
    栗原美和子プロデューサー、えーかげんにせーよ(笑)。
    本編と予告編の間に、無理矢理“今週の裏話”というコーナーを捩じ込んで、つんく♂とミニコントをするアホっぷりでございます。同局亀山P同様、アナタも大概出たがりよねぇ(呆)。
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天国に一番近い男

    ホントだぁ、平成13年4月13日、金曜日の上に仏滅・・・誂えたように見事な不吉日にスタートの『天国に一番近い男』。前回のスペシャルのラストで
    「4月にねー!」
    と陣内さんが叫んだ時には、既にスタッフにはこの日の事が頭にあったんでしょう。何とも見事なネタフリでございます。
    ほぼ同一のキャスト(主要な処では、奥菜恵・窪塚洋介・池内博之がリタイア)で、全く別のエピソード。どうやら、世界観は同一でキャラクターは全く別という設定らしいんですが。いやぁ、前回の“バラエティ風ドラマ”とは完全に違うベクトルで勝負してきましたな。なんて言うか、非常に雰囲気の悪いドラマになっております。『ケイゾク』『IWGP』『QUIZ』等の、TBSが最近得意としている“後味悪い”系。前作のファンを見事に裏切っての登場でございます。

    しっかし
    おちまさと稼いでるなぁ(あ、ドラマ脚本書いてるときはひらがなじゃダメなのね)。ようやく『仕立て屋工房』が終わったと思ったら、またこういうところでせこせこと・・・。こういう非人道的な脚本の作り方には、つくづく職人技を感じますわ。初回も、“いじめられっこに対して平気で「クサい」コールをする教師”だの、“飛び降り女生徒が助かった事よりも自分の都合を優先する天使”だの、見事に見てるこっちの神経を逆撫でしてくれます。他人の感情とか誠意なんてモンを踏み潰すのは大の得意だしなぁ、おちまさと(←だからひらがなはダメだってば)。
    また、松岡昌宏のシャープな顔立ちが、“ドラマ史上最低最悪の人間失格主人公”というキャラクターに見事にナイスフィット(<誉められても嬉しくは無かろうが)。
    松岡の顔って、基本的に余計な引っかかりが無さ過ぎるんですわね。これって、“整っている”という事とある種イコールなんですが。ただ、引っかかりの無い造型なだけに、演じるキャラクターが弱いと途端に精彩が無くなるんですわ。
    前作では、やる気無し無しのおとぼけ浪人生。本作では、前述通りの最低野郎。少なくともここのスタッフ、松岡の使い方は見事に判っておられる様子です。非常にキャラが立っているので、今度は逆に、松岡のあのルックスが相乗効果で映えること映えること。醒めた感じが実に良く出ており、前回との落差も含めて大変メリハリがございます。

    前回に比べて妙にアゴがたぷたぷしている、天使天童世死見役の陣内孝則。まぁ相変わらず器用三昧ですことねぇ。前回は、頼り無くも可愛い気のある四郎ちゃん(当然松岡)を陰に日向にフォローする、おちゃめで心優しい天使だった訳ですが。今回、性格最悪の隠岐之島(松岡)に合わせる様に、天童ちゃんもすっかりクールでございます。本人があのハチャメチャっぷりだというのに、芝居に入るとちゃんとクールに見えちゃうのが凄いよなぁ・・・衣装はぱっつんぱっつんですが。皮のジャケットがボタンの所で引っ張られて、かなり苦しそうでございます。どうもそっちの方に神経が回っちゃって、肝心のお芝居のほうに注意が向かないという恨みはありますな。

    今回のヒロイン格は、加藤あいちゃん。いやぁ、見事だなぁ。暗くてダサくて汚い苛められヲタク娘を、信じがたい程ブサイクに演じておられます。甲高い声と早口な喋り方、それに、ばさばさに結った髪を神経質に掻き上げる仕草。どれを取っても、
    「確かにこういうコはどうもなぁ・・・」
    という雰囲気でございます。加藤嬢、綺麗綺麗な顔立ちの割に、平気でざっくり突き抜けた芝居をする処が個人的に好みだったりするんですが。相変わらず、ご自身の美貌にあまりにも無自覚な弾けっぷり。しかも、どことなくそういう演技をする自分を楽しんでいるような風情もあって、“女優”としての足場を着々と固めつつある今日この頃、といった感じでございます。
    それにしても、事務所もよく許すなぁ、机の上の消しゴムカスを三角定規で掻き集めるような役どころのキャスティング。これからもこの調子で、加藤あいという素材を野放しにしておいて欲しいものですわ。

    脇を固めるのは、前回に引き続き、袴田吉彦・北村総一郎&渡辺いっけいの面々。この辺はあまりキャラクターが変わっていない様ですが、前回超弩級の音痴でキャラを立ててきた袴田君が今回は音楽教師。いわゆる小ネタってヤツですな。
    コンセプトをがらりと変えた本作では、ミステリーやホラーの要素も入れてきているだけに、今回はこのお三方の爆発ぶりは少々スケールダウン気味かと。初回は、袴田っちの福島弁も結局1度も聞けずに終了ですし。その辺、前作のファンには少々寂しいところかも知れません。
    そして新キャラ。
    いやーん、那須田クンって那須田クンって、『QUIZ』のホームページで何故か人気沸騰してしまった、演出の那須田クン(が元ネタ)じゃないのー。しかも、演じるは阿部サダヲ!ゴージャス!(何処が!)ヲタクで発明好きな物理の教師・那須田潤(ちなみに、実在する“那須田クン”の名前は那須田淳。『QUIZ』『チープ・ラブ』などを演出)を、相変わらずの雰囲気で嬉々として熱演中でございます。阿部サダヲって、芸名のイメージ(大人計画では、役者の芸名は大抵松尾スズキが決めるらしい)や芝居の方向性から、テレビというとどうしても粘着質なストーカーっぽいキャラクターが多かったんですが。そういった意味では、今回は比較的穏健な役所かと。心置きなくテレビで阿部サダヲが楽しめるなんて、良い時代になったもんですね(<?)。
    松岡演じるサイテー隠岐之島の良く出来た弟役に、妻夫木聡クン。どこでどうやって育てたら、こんなにのほほーんとした雰囲気のコが出来あがるんでしょうか。主人公をしっかりフォローする唯一の味方的存在として、池内君が抜けた穴を埋める位置付けなんでしょうが。なんともぽわーんといい味を出しております。梅宮アンナが演じるのは、保健教諭。セクシーダイナマイツだが謎を秘めている・・・という役所ですが、何のための梅宮アンナなんだか意図がさっぱり。特に、前述の通り曲者だらけの教員室の中では、一人その台詞回しの稚拙さが浮きまくっております。ま、あくまで彩りと考えて黙認するのが正しい対処の仕方かと。後半、本筋のストーリーに結構絡んでくるらしい雰囲気があるので、その辺がちょっと不安なんですが・・・。

    「一見完璧とも言える“タダシイ生徒”だが、実は裏の顔が・・・」
    という、まさに『コータローまかりとおる!』並みの漫画的キャラに、主演松岡とはジャニ繋がりの桜井翔(嵐の慶応ボーイ。某ヒロスエと違って、結構マメに通ってるらしい)。これからじわじわ正体を見せて行くんでしょうが、初回は隠岐之島と天童・雛子のキャラ説明に追われてほとんど出番無し。失礼ながら、『涙をふいて』のニノも『金田一』の松潤もどうも今一歩パッとしなかっただけに、桜井クンには是非とも頑張って頂きたいところですな。しかし、“一見カンペキなカリスマ生徒”というには、ちょっと小粒で可愛らし過ぎるようなきらいもあるんですが・・・。

    初回は、TBSの人気番組『学校へ行こう!』のコーナー“未成年の主張”に絡めてのストーリー展開。で、V6の三宅と岡田がゲスト出演。そういえば、前回の『天国に一番近い男』初回には、何故かトニセンの坂本と長野が出てましたな。
    クラスの策略で“未成年の主張”に出演する事になってしまった雛子(加藤)。“主張”は順調に行われた様に見えたが、雛子の日記を盗み見たクラスの女子が、彼女が肥溜めに落ちたことを学校中の生徒が集まる前で暴露してしまう。湧きあがる「クサい」コールに、心引き裂かれる雛子・・・。
    そうそう、“未成年の主張”見る度に(といっても、V6ファンでは無いワタシは滅多に見る事が無いんですが)、このドラマ同様の、後味の悪いイジメ系トラブルが起こってるんじゃないか・・・と密かに気になっていたんですが。
    やっぱり、ありそうだよなぁああいう公開イジメみたいな事象。テレビで放映される爽やかな風景が全てじゃないだろうし。なんか暗澹たる気分になってしまいましたが。それにしても、ウマい事繋げたなおちまさと。っていうか、まさか本当にそんな事があったんじゃあるまいな・・・(今ちょっと背筋が寒くなりました)。

    ホントはこれって多分、再放送で2週間集中して毎日見た方が面白いドラマのような気がしますわ。ビデオに撮り溜めておいて、後日一気に見る・・・というのもひとつのテかも。3ヶ月にわたって毎週毎週見る・・・というのは、ちょっと厳しいかな。スペシャル系なら気楽に見るんだけどなぁ・・・。
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昔の男

    7年前って7年前って、7年前って携帯あったっけ?7年前・・・ワタシが○○才だった頃だから・・・えーとえーと、やっぱり今ほど普及はしてないだろ、いくら何でも。皆がみんな今みたいに携帯持ってた訳じゃないんだから、
    「7年前の“昔の男”の電話番号が消せません」
    ってのはちょっとなぁ。それに大体、7年も経つうちに番号も変わるでしょ、普通は。と、とりあえずさっくり突っ込んでおきますが。まぁ、携帯番号自体を7年前に入手したとは限らない(サークル仲間だったらしいから、名簿を見て自分で入力したのかも)し、携帯のデータは今や簡単に継承出来ますしねぇ(<さっきオフィシャルサイトを見てきたら、そのものズバリ「名簿を見て自分で入力した」という回答がスタッフ側から掲載されておりました。しかし、入れるかね昔の男の携帯番号を)。

    作『週末婚』そっくりのオープニングでスタートする、内館牧子女史お得意の男女ドロドロ情念ドラマ。設定も現実離れしてる上に展開があまりにドロドロ過ぎて、現実味が見事に薄い分、却ってのめり込んで楽しめるというのが持ち味な訳で。この辺のサジ加減が、『嫁はミツボシ。』辺りとちょいと違うというか、内館牧子の玄人技というか。
    更に言えば、この方の脚本の場合、極端に馬鹿馬鹿しいストーリーの脇を締めるために妙にリアルな家族描写が入ってくるところがミソでして。今回は、主人公あかり(藤原紀香)の両親として、石倉三郎と藤田弓子がご登場です。下町で玩具屋を営んでいるという設定で、あかりが住んでいるマンション(東京タワーが見える!いつの時代のトレンディドラマだ)とは異常なまでの落差でございます。そういえば、必ず畳の部屋が出てくるモンなぁ内館牧子のドラマって。

    ヒロインを演じるのは、藤原紀香。あちこちのテレビ誌で、
    「演じていると昔のカレに電話したくなる」
    と妙に未練タラタラなコメントをしておられますが。え?演技?紀香サンにそんなもん要求する方が間違ってます(笑)。いいんです、哀しかったり切なかったり懊悩したり、という感情表現が、悉く記号的・漫画的であっても。そう、彼女の演技は、内から出てきて視聴者を圧倒するという雰囲気ではありませんが、少なくとも少女漫画の中堅ドコロが描く漫画程度にはちゃんと伝達力がある訳で。
    哀しい時には軽く眉を寄せて俯く、とか、困惑する時には軽く目を泳がせる、とか、悩む時には視点を1箇所に集中させる、とか、何せ紀香嬢のお芝居は実に実に記号的。観ていれば必ずヒロインあかりの感情が読み取れる、という意味では、はっきり合格点でしょう(笑)。しかも、内館サンよっぽど不安だったのか、今回やたらと内面モノローグ(「親には心配をかけたくありません。こんな嘘ならいくらでもつくつもりです」とかね)が多いしなぁ。
    台詞回しが聞くに耐えない訳でもありませんし、何せ演技力うんぬん以前に爆発力の激しい脚本ですから、最後までこの調子で行けばあまり問題は無いでしょう。ある意味、いちいち目くじら立ててケチ付ける方がオロカかも。

    大沢たかお、「とても社会の枠に納まり切るタイプでは無いと思ってた」と周囲に言われる、アウトロータイプの男。今は社会的にも成功しているが、胸の内に安泰を厭う想いを飼っており、昔の恋人との再会を機にその想いが・・・という役所でございます。その名も、嵐。ついつい
    「ゲームセンター・・・」
    と口走ってしまうと年齢がバレるのでご注意を。
    それにしても大沢たかお、いつからこういうキャラに路線変更したのやら。しかし、これがなかなか巧く嵌まっておりまして。今となっては、『星の金貨』や『オンリー・ユー』の爽やかさは、いくら努力しても思い出せません。今回演じる嵐も、飲み屋のカウンターでいきなり昔の恋人にキスをしてしまうようなワイルド系のキャラクター(しかし、あんなトコでいきなりそんな真似されたら、普通は引くだろうけどなぁ・・・)。しかし、一見ワイルドでハードボイルドな性格設定でも、内館サンにかかると、二人の女の間を行ったり来たりする情け無い中途半端クンになっちゃったりしますんでね、そのヘンの嵐クンの揺れっぷりも見所かも知れません。

    あぁ、富田靖子怖い。怖いわぁ。以前にも、男を取られて狂気にとり憑かれる役を演じたことのある富田靖子(『素晴らしきかな人生』でしたっけ?織田裕二が出てたヤツ)ですが、目元に漂う切迫感がなんとも堪りません。芝居の方向性が緻密で丁寧なだけに、舞台演劇では今一歩映えない彼女なんですが、
    「アタシ、シアワセ」
    この一言をこんなにもホラーに発することが出来るなんて、やっぱり富田靖子タダモノではありません。去年の夏の舞台『阿修羅城の瞳』で、
    「冨田靖子ってのは一体どうなんだろう・・・」
    と疑念を発したワタシですが。愛する夫を他の女性に取られた時には相打ちも辞さず・・・という情念丸出しのテレビ演技に関しては、つくづく納得の一語でございます。しかしそれでもやっぱり、「象印徳子さん」のCMはどうだろうと首を傾げざるを得ないなぁ・・・。

    『週末婚』でも怪演を見せてくれた阿部寛、今回は、主人公あかりの恋人役。普通の家庭生活を望むあかりに対して、
    「結婚したいならオレは止めておけ」
    と言い放つ独身主義者ですが、実は秘密があって・・・というキャラクターでございます。で、その“秘密”であるところの迅人(阿部寛)の母親を演じるのが、林美智子さん。最近出てくるといつもこういう役ばかりの、昔の美人女優さんですな。パチンコ狂いで男狂いのこの母親、現在はエリートである迅人にとって、疎ましくはあるものの振り捨てることは出来ない、過去に繋がる重い頚木な訳で。阿部ちゃん演じる迅人クン、この母親を世間的には死んだ事にしているらしいんですが。別にアル中やドラッグ中毒だったりする訳じゃないんだから、何もそこまで隠さなくても・・・結婚願望の強いあかりなんて、意外とすんなり受け入れちゃいそうだしな<という非現実的な設定が、却って視聴者をドラマ世界にのめり込ませる訳ですね。恐るべし内館牧子。

    そんな迅人に横恋慕する容姿端麗頭脳明晰な社長秘書役に、黒谷友香。会社の先輩であるあかりに懐いているフリをしながら、迅人に向かってこっそりあかりを貶すような言い草をして見せたりする、なかなかに性格の良さそうなキャラクターでございます。名前は沙多子(<受けを狙っているのか?)。
    いやぁ、またか黒谷。現時点では、彼女まだあかりと迅人が交際している事を知らないんですが。ドラマ的にはこの先バレない訳が無いでしょうから、きっと髪振り乱して嫉妬に狂乱するんだろうなぁ。彼女が、CMのとおりにさらりとしたキャラクターを演じさせてもらえるのは何時の日になるんだろう。

    他、手短に。
    とみやっこ、こっちにしとけよ・・・と言いたくなる横恋慕男に、鈴木一真。初回だけに顔見世程度の登場でしたが、どちらかといえば脳天気なキャラクターを愛嬌満点に演じております。ふーん、鈴木一真ってこんなことも出来るのね、といった感じでしょうか。このまま可愛い年下男路線で行けば、このドラマのオアシス的存在になるかも・・・まぁ、まず無理でしょうが。テレビ誌によれば、焼けぼっくいに火がついたあかりと嵐の事を知り、嵐の妻マリ(富田)へ愛を傾けて行く・・・という展開らしいですから。だからとみやっこ、自傷したりする前にこっちにしとけ。な。
    かつてあかりや嵐が所属していたサークルの溜まり場・『ゴーリキー』のマスターに清水紘治サン(ちなみに役名は“渡夢”と書いてトム。やっぱり受けを狙って・・・)。こういう所にこういう役者さんを持って来る辺りが、TBS金曜10時の底力なんでしょうか。しかし、嵐とあかりのキス、見て見ぬフリするのは面倒だったでしょうな・・・それとも、あの位置からは見えない、という事になってるのか?それはそれで、マスターがカウンターの目の届かないところにうかつにひょこひょこ行ってしまう、という設定が不自然だしなぁ。うーむ。
    山下裕子サンと西牟田恵サンが藤原紀香と同世代(サークル仲間なだけに、最大でもせいぜい4〜5つの年齢差)という設定も、小さく笑えます。おまけにこの人達、因縁まみれのあかりと嵐を残してとっとと帰っちゃうし。
    そして、あかりの職場の同僚に、ふせえりさん。相変わらず眼鏡かけてちみちみとイチビリキャラを。スパイスというには余りにも小粒なキャラで、とりあえず
    「会社内でのあかりの位置」
    を説明するだけの役所といって良いでしょう。つまり、説明が済んだら用済み・・・あぁお気の毒に。

    20代もどん詰まりのヒロインが、昔の男を忘れられずバタバタする・・・という、大筋だけ言えば割合単純なストーリー。そこに、今の男・今の男の昔の女・昔の男の今の女・今の男に惚れてる女・昔の男の今の女に惚れてる男(笑)などが絡まって、かくして立派に複雑怪奇な人間模様の一丁上がり、という訳で。
    これはもう、斬ったはったが無い事には収拾付かないでしょうよ・・・と、思いっきりワイドショー気分で楽しむのが吉なドラマですわね。生臭さが取り沙汰されがちの内館ドラマですが、実のところは生臭いどころか、はっきり言ってオトナのダークファンタジーって奴でしょう。ノリカに感情移入してドロドロ恋愛ドラマのヒロインになりきるも良し、とみやっこに感情移入してツマの狂気を追体験するも良し。好き嫌いははっきり判れるタイプのドラマでしょうが、『週末婚』同様ワタシは割と好きだったりします<趣味の悪さがバレますな。

    「子供いくつ?男の子?
    「子供は居ない」
    妻から、奪えると思いました。


    きゃーっ!きゃーっ!<既に術中。
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陰陽師

    違う、陰陽師。ワタシ的にはこんなのは、
    「え!ごろちゃが『陰陽師』!素敵!ビデオよビデオ!完全保存版よ!」
    と喜んだ『陰陽師』では無い。
    だって、夢枕獏の『陰陽師』も、岡野玲子の『陰陽師』も、安倍晴明はもっとぽわーんと掴み所の無い、“雲のような・・・”男なんですもの。
    その掴み所の無さっぷりこそが、稲垣吾郎−安倍晴明のキャスティングポイントだと信じて疑わなかったワタシなのに、こうもあっさり裏切られるとは・・・。あんなにシャープで切れモノっぽくて冷たい安倍晴明なんて、『陰陽師』じゃないわー!
    源博雅も蜜虫も、嵌めようと思えば実によく嵌まるキャスティングだっただけに、使い方(演出)におおいに不満の残る初回でございました。安倍晴明が多少ばかり茫洋としているが為に、舞台装置としての平安の幽玄がより際立つんじゃないかー!

    初回の『玄象』は、小説にも漫画にもあるストーリーなんですが。これ、さぞや原作ファンもお怒りでしょう。幽玄たる切々とした物語が、いつの間にか単なる安っぽい恋物語にされていて、ショックはさらにいや増すばかりでございます。しかも、セリフがまた酷い。
    「愛してます」
    って・・・いくら何でも、平安時代に
    「愛」
    は無いだろうよ・・・。確かに、小説も漫画も、時代考証はあんまりしていない(というか、漫画版岡野玲子は、敢えて漫画的テクニックとして外来語なんぞもセリフに入れている)けど、これはちょっとなぁ・・・。脇脇の言葉では無く、もっとも大事なシーンに出てくる科白なだけに、もう少し考慮して頂きたかったものでございますわ。

    うーん、期待が大きかっただけに、脱力の度合いも大きくて。色々とツッコミ処(宮川一郎太ってどうよ、とか)はあるんですが、いちいちあげつらう気力さえ萎えております・・・と言いつつ、多分とりあえず最後まで見ることは見るんだろうなぁ、文句ぶりぶり垂れながら。はぁ(溜息)<あまりのショックのため非常に短め。


ある日、嵐のように

    『突然、嵐のように』っていう映画がありましたが、多分何の関係も無いと思います(だってこの映画、主演郷ひろみだし)。
    とにかくまったりと重い。何せNHKで中井貴一と佐藤浩市でおまけに舞台が検察局。また、“闇のフィクサー”という、民放でやったらいかにもトホホなキャラクターを、江守徹がみっちりと不気味にやってるんですわ。
    えぇ、検察だからって『HERO』を思い出してはいけない訳で。
    「これってアンチテーゼ?っていうか、検察局辺りから『ちょっとイメージの軌道修整を・・・』ってお願いされた?」
    とでも勘繰りたくなるような凄まじい重力場に、思わずテレビの前でべっちょりと潰れてしまいました。
    NHKって、元々画質自体が重いんですが、揃えたキャストがまた隅から隅まで重い重い。“過去を持つ女”に夏川結衣という辺り、もうツボ突かれ放題、という感じですわ。

    相変わらずぼっちゃん臭い中井貴一。巷間、
    「彼はきっと結婚したら何かが変わる筈、それが芝居にも表出する筈」
    と期待交じりに囁かれていた様ですが。結婚して何が変わったんだかさっぱり、の相変わらずっぷりでございます。線細いし、何処と無く頼り無いし。ま、多分徹頭徹尾佐藤浩市さんの引きたて役(<何てことを!)。

    浩市さん、ダークで屈折したエリート役。自家薬篭中、といったところでしょうか。最近はお茶目系の役から遠ざかっておられますが、それはやっぱり『天恋』の大失敗がこたえておられるんでしょうか。江守徹と岸辺一徳という爬虫類系バケモノコンビにも負けない迫力は、流石の一語でございます。そうなるとやっぱり、この対面に夏川結衣というキャスティングもこれまた絶妙ですなぁ。

    斎藤由貴が、佐藤浩市のかつての恋人で、現在は中井貴一の妻という役所。確かに、“昔嵐を経験したけれど今はすっかり落ちついた奥さん”という意味では、そのぽっちゃりした弛み加減もまぁ合っていると言えない事も無いんですが。しかし、二人の男性(それも、佐藤浩市よ!しかも、あの『天気予報の恋人』ではなく、ちゃーんとシブ目の佐藤浩市よ!)の間に挟まるヒロインとしては、どうもちょいとばかり“女”が弱いような気が。うーん、これって麻生祐未あたりのキャラなんと違うかなぁ。前クール『バブル』に出ていたんで連投を避けたのか。

    月曜日からこれは、流石に余りにも重いなぁ・・・という感じでございます。金曜日辺りだったらもしかしたら見ていたかも知れないけど・・・やっぱり、お疲れ気味の頭には、こういう
    「政治とカネと悪徳が絡み合う世界でドロドロと因縁を付け合ういい年コイた大人の男のやり取り」
    っていうのは辛すぎ。
    高村薫系のこういう重たーいのがお好きな方は、是非。ワタシは、いくら浩市さんがカッコ良く撮れていてもちょっとパス、ですわ。