非婚家族
真田広之主演というだけで少なからず見る気が減退しているところに持ってきて、原作が紫門ふみ。紫門ふみって、ストーリーテリングはともかくとして、どうしても絵が汚いんで読む気失せるんだよねぇ・・・。時折新聞なんかで説教クサいエッセイを書いてたりするのも、萎えポイント追加だし。辛い、辛いなぁ夏に真田&サイモン。
紫門原作で実力中年俳優主演といえば、かつて、シャ乱Q『いいわけ』の印象的なイントロで一世を風靡した『Age35〜恋しくて〜』と同一のフォーマットですが。“オトナの恋物語”“紫門ふみ的家族論”というよりは、(少なくとも初回を見る限り)サイモン版『昔の男』という感じでしょうか。辛い別れをした筈の昔の妻だが、年を経て久しぶりに職場で巡り合った彼女は魅力的な“大人の女”になっていた・・・ま、サイモン版ならではのシビアさで、ここから甘い恋愛に陥らないところがミソなんですがね。
“昔の女”に心揺らすマヌケな既婚中年男を演じるのが、真田広之。見事な演技力と視聴者側の色眼鏡(あんな過去の話を執念深くネチネチ言い募るのはワタシだけか?)、そして今時にしては恵まれない体格が相俟って、息詰まるようなリアリティを現出させておられます。企画の失敗で左遷されて営業に移動したものの、かつての成功の記憶を拭い去れずにじたばたする・・・というのは、ちょっと考えると『彼女たちの時代』の椎名桔平を髣髴とさせるキャラ設定なんですが。その実体は、
「この、絶滅恐竜がッ!」
と元妻(鈴木京香)に罵られるほどに、自分の基準でしか世間や妻をはかることが出来ないダメ男クン。お茶の間の同情は、毛ほどもそそらぬ役どころです。ある意味、こういう役を仕事として受けてきっちり造型してしまう辺りが、真田広之のエラい所なんでしょうけども。それにしても、米倉涼子演じる洋介の妻ひかるの方に感情移入してしまうってのは、相当なモンなんじゃないでしょうか。そもそもワタシ、米倉涼子って苦手な筈なんですけどねぇ。
洋介(真田)の元妻・知華子を演じる鈴木京香さん。パーツパーツは相変わらずお美しいんですが、お顔もお身体も輪郭が・・・あああああ。
もともとぽわんとしていた女が、人生の局面に遭遇してキャリア化してしまった・・・という雰囲気は実によく出ております。特に、自尊心から嘘をついた元夫嫌味を垂れまくるシーンと切れたはずの不倫相手がマンション前に現れたときの戸惑い顔は絶品。
自分の生活に閉塞感を覚えていて、それをいくら訴えても理解してくれない夫に不満を募らせた挙句、
「これまでの7年間ワタシが育てたんだから、この先7年はあなたが育てて」
とコドモをおいて家出する洋介の妻、ひかる。演じるのは、個人的に苦手な米倉涼子。
「もっと他の男とセックスしたいから」
と捨て台詞を残して家を出てしまう辺りはどう考えても自分勝手なオンナなんですが、その台詞をしっかり裏打ちしてしまうような洋介のダメっぷりの描写がシビア過ぎて、ひかるの行動につい妙な納得をしてしまいます。
演出が巧いのか米倉サンがマシになってきたのか、これまでの彼女の出演作に比べても浮き具合が格段に減っており、米倉さん登場のシーンでも、
「うわー、我慢我慢」
と自分に念じなくて良くなったのは非常に嬉しいところでございますわ。
真田広之(が見事に演じている“洋介”というキャラクター)はどうにも不快なんだが、その分を補って余りあるのが宇崎竜童ですな。写真家としては超一流だが、稚気もある可愛いオトナの男・根津。不倫相手の知華子を諦め切れず、ゴメンゴメンと泣きながらつい抱きしめてしまうという男の弱さを、飄々とした顔つきで演じております。初回では、台詞回し云々というほど出番はなかったんですが。これから、どういう具合に話に絡んでいくのかという興味は充分に惹いてくれました。
来週は、キャバクラ嬢として黒谷友香(しかし彼女の事務所もなりふり構ってないですなぁ。っていうか、こういう役ばっかりで、チョーヤさんは怒らないんだろうか)・根津(宇崎)の妻として夏木マリさんがご登場。どんどん濃くなる絵ヅラと、真田広之(<だから、真田本人ではなくて演じている“洋介”だってば)を始めとする登場人物の自分勝手ぶりが息苦しく、木曜日の夜に気楽に見るにはちょっと辛いドラマかも知れません。秋スタートならもうちょっと見る気も起きたんだろうけどなぁ・・・。
初回、自称ドラママニアの小倉智昭が特別出演。視聴者側からすれば、『どーなってるの』が終了していたのはもっけの僥倖ってヤツですわね。もしまだあの番組があったら、きっと大騒ぎしてはしゃいでた筈。想像するだに邪魔くさい(笑)。っていうか、本人役で出演したケリー・チャン辺りはともかく、わざわざ小倉をありがたがって特別出演させるメリットがどこにあるのか?謎だ。ネバーランド
てっきりスニーカー文庫とかホワイトハート文庫とかそういう系統だと思ったんですが、普通の集英社文庫なんですね、原作。ま、そりゃそうだわな。いくら何でもあのテの小説を天下のTBSがドラマ化する筈はありませんもんねぇ。
恩田陸原作といえば、『六番目の小夜子』というドラマがありましたな。ワタクシ、原作を先に読んで今一歩面白味を感じられなかったんで、ついうっかり見逃したんですが。後から友人に、
「あれはチョー面白かったんだよ!原作なんて目じゃないくらいいい出来だったのに・・・アンタ見逃したの?信じらンない!」
と聞かされてかなりショックを受けた、という過去がございます。しかし、今回は製作側が初手から「原作に忠実に」と言明している訳で、
「それはつまり、つまんないトコまで忠実に映像化するということかい?」
と一人勝手に懊悩するワタクシ。そもそも、“海沿いの男子校に併設されている古い洋館風の学生寮”って設定自体が、実写化には大きく無理を持っているような気がしますけども。
男子校の夏休み。それぞれに家族との相克を避けるために学生寮に逃げ込んだ4人の少年。そこで行われた懺悔大会には、「一つだけ嘘を混ぜること」というルールがあった―。
公式には「切なくほろ苦い青春ミステリ」であり、正式にはいわゆる“キャラ萌え”系な青春小説を原作に、もはや“ジャニーズ枠”として定着した感のある夏の金曜9時枠を使って木下プロが送る、女性向け接待ドラマでございます。
しかし、それにしてもジャニーズてんこ盛りですこと。ワタシなんぞはキャスト表見ただけでおなか一杯でございますが、夏休みを前にしたターゲット限定ドラマとしては戦略的に正しいんじゃないかと。しかし、あまりにも戦略を重視してしまいすぎたせいなのか、画面が異様なまでにアップばっかり。で、アップ対策として男性出演陣の唇がリップクリームまみれになっていて、若手ジャニーズに萌えないヒトビトにとっては目のやり場に困るような状態になっております。うーん、木下プロダクション的にはそれでいいんだろうか。っていうか、演じる方も大変よねぇカメラ相手の芝居が多すぎて。
で、そのジャニーズ勢。
主人公美国を演じるのは、タッキーソロデビューが半確定した現在、Jrのトップ格を張ると言ってよいポジションの今井翼。前から思ってたんですが、今井翼って絶対西川貴教(TMR)に似てるよね。また、彼の子供時代を演じる子役が、似てると言われれば似ていない事も無いんだけど、どうにも可愛くないんだこれが(笑)。目の大きさはともかく、どことなくふてぶてしい感じと洗練されていない体格が、今井翼の子供時代というよりは工藤公康の子供時代、って雰囲気。どうしてあの子役が合格になっちゃったんだろうなぁ。うーむ。
たぶん原作ではかなりお耽美なキャラに設定されている筈の、光浩(読んでないけどな)。演じるのはV6の三宅健でございますが。えーとえーと、とりあえず耽美じゃないし。っていうか、年齢的にキツいし。3年くらい前の三宅クンだったらまだしも、肩幅や喉首・顎あたりが大分オトナな体格になってしまわれたせいで、なんだかチグハグな感じ。しかも、役作りのせいなのか何なのか、妙に語尾を延ばしたり滑舌が悪すぎたりと、台詞がものすごく聞き取りにくい喋り方をしております。ディレクターがどうしてダメを出さないのかがとても不思議ですわ。
美国に憧れる、心臓にペースメーカーを埋め込んだ下級生岩槻に、田中聖。心臓にペースメーカーっすよ!ペースメーカー!しかも、同性の上級生に憧れてるんすよ!これを耽美と言わずして何という!というキャラなのに、肝心の田中聖君がどうも野性的なお顔立ち(平たく言えばゴリラ系)なんで、“小奇麗な少年が群れてひと夏を一つ屋根の下で過ごす”という鼻血の出そうな設定も、かなり毒消しされている状況でございます。まぁアレだ、9時台のドラマとしては、田中聖で毒消しする位でちょうどいいんでしょうが。
で、三宅健田中聖と足りないお耽美を、代わりに引き受けてるのが高島礼子サマと野際陽子御大。
高島礼子サマ、光浩(三宅)にヨロシくない関係を強要する義理の母親、という役どころを、ぽってりした唇から溢れる情念で不気味に演じておられます。彼女の存在の謎も、回が進むにつれて徐々に明かされていくんでしょうが。どこかその謎を知るのが怖い、という程ドロドロとしたオーラをしっかり身に纏わせた礼子サマには、やはりド迫力がございます。年下男を手玉に取る礼子姐、というシチュエーションは、どちらかと言うとオヤヂ萌え系だろうなぁ・・・でも世のオヤヂ達は、礼子姐のためだけにこのドラマを観る程には体力無いだろうなぁ・・・。
少年たちがひと夏を過ごす松籟館の責任者・庄司若葉役に野際陽子。その風貌・雰囲気から生徒たちに「魔女」と呼ばれ、
「生徒の生き血を啜っている」
とさえ噂される不気味なオバチャン。・・・そらまぁ他には居ないでしょうね、この役を演じることが出来るお方は。しかし、ソニーと離婚なさって以来、どうもお仕事を一切選んでおられないような気がします、野際さん。そのお陰で、
「いつでもどこかに出てる=売れっ子」
というイメージはすっかり定着しましたが、相変わらず便利な使われ方ってのはどうなのか・・・。
山田麻衣子ちゃん、奥菜恵嬢に次ぐ“ジャニーズ専属女優”化しておりますなぁ。『PU−PU−PU』『向井荒太の動物日記』に引き続き、ジャニーズドラマにご出演でございます。美人ちゃんだし演技もそこそこだし、後怖いのはスキャンダルですかね。お気をつけて。
松籟館の4人を引っ掻き回すトラブルメーカーの同級生を演じるのは、山崎裕太クン。『あっぱれさんま大先生』に出ていた頃は、どれほどの美少年になることやら・・・と期待を持たせた彼ですが。育て方を誰がどこで間違えたもんだか、いまや立派なチンピラ顔になってしまいました。野際さん演じる庄司は、それは厳しく松籟館の生徒を締め付けるんですが。その前にまず、髪の毛金色の高木(山崎裕太)を放校しておけよ、と申し上げたくなりますわね。
はっきり言ってしまえば、これはもうほとんど「環境ビデオ」の域でございますね。綺麗な景色の映像とともに、美少年(とりあえずそういうコトにしておく)のアップを多用して、蒸し暑い日本の夏の不快感をしばしお忘れいただきましょう・・・というドラマでございます。ジャニーズファン以外のニーズとしては、えっちぃ礼子サマを楽しみたい向きと、
「金曜日のこの時間、じっくりテレビなんて見てられないし」
というお疲れ系の皆様のながら観需要でございましょうか。根強いジャニーズ需要でとりあえず数字的に底を打つことは無さそうですが、純然たる“ドラマ”として楽しむにはちょっと根性が必要なようです。うくくくく。世界で一番熱い夏
今更岸谷五朗と和久井映見!今更このタイトル!と、全然やる気が無かったワタシですが。
最初に申し上げます、これ結構面白いです。本日ワタクシ、3時間半みっちりドラマを見たんですが。最後にビデオで観たこれが、一番短く感じましたですわ。
政治物→親子物→サスペンスと無理なく流れる脚本もさることながら、それをきちんと形にしてみせた演出・演技陣の力もお見事で、どのパートも過不足なく力を発揮しているバランスの良さが、そのままドラマの力となっております。特に、政治・親子のポイントをやり過ぎなかったのが、全体的なバランスから行って吉だったんじゃないかと。
共演経験の多い岸谷&和久井コンビ。いやもう、ちょっとした会話ひとつ取っても、手堅い手堅い。決して綺麗綺麗だけではないルックスと地に足が着いている風情の演技スタイルが共通するこの二人、そもそも共演が多いのも、組み合わせとしてのパワーが個々の演技者としてのパワーを増幅させるせいでございましょう。ただしもちろん、そもそもこのテの“地味系”芝居が苦手な方々には向かないキャスティングでございますわね。
「ドラマくらいはシビアな現実から離れて脳天気に・・・」
という視聴傾向の方々には、ちょっと受け入れづらい類のドラマかも知れません。
主演の二人ががっちし堅いので、演出も非常に手堅くまわしております。ファーストシーンからやたらに爆裂するエラい空撮を除けば、演出はもう全面的にかっちりと型に嵌った流れ。イメージショット(落ちる夕陽)の挿れ方に雨の使い方、ロングショットとアップの切り方や切り替えのタイミング、全てに新味はありませんがその代わり磐石の安定感。TBSドラマの大看板である“金曜10時”枠に相応しい、あざとさも衒いも無い演出でございます。展開がシリアスでダークなだけに、こういう無難な演出は非常に見やすいかと。
長年信じて尽くしてきた大物代議士・東城勇志(小野武彦)が、いよいよ総裁選に打って出た。秘書として喜びを噛み締める神大輔(岸谷五朗)。私生活でも、微妙にぎくしゃくしかかっていた妻との関係が修復され、神の人生は光に満ちていた筈だった。
ところが、東城の突然の裏切りに遭い、神は収賄疑惑を負って追われる羽目に・・・。神は、無実を信じる妻・来未子(和久井映見)に会う事もかなわぬまま、新宿中央公園のホームレスヤブさん(田中邦衛)と暮らしを共にすることに。熱い男の愛と復讐の物語をサスペンスフルに描くドラマ。
連ドラ久々の岸谷五朗。相変わらず顔、長いです。うーん・・・他には特段コメント無し。だって、役柄とイメージとのギャップがあまり無くて、安定しすぎて突っ込み所が無いんですもの。敢えて言えば、逃亡中のどろぼうヒゲがコントっぽかった、というくらいでしょうかねぇ。
不満顔女優和久井映見。おしりの辺りに“主婦”のリアリティを滲ませつつ、30歳でもどこか可愛い健気な妻という所を絶妙に造型しております。特に、辛い思いで私立の小学校に通う娘について「あなたの見栄で無理をさせるのは可哀想」と夫に不満を述べた翌日、夫がいきなり
「小学校辞めて来たぞー!」
と叫んだ時の表情は、
「どうだ!これが“和久井映見”の芝居だ!」
とでも言いたくなるような大芝居っぷりでございました。惜しむらくは、夫の葬式(ホントは死んでないんだけど)シーンでも、ほっぺがふくふくとしていたコト。前クール『昔の男』で3日絶食した紀香までとは言わないけれど、せめてあのシーンだけはメイクや何かでなんとかならなかったかなぁ、と。
原沙知絵嬢、前クールのおとぼけぶりとは180度コペルニクス的回転を見せての、やり手悪辣秘書役。ご本人にとってはストレスの溜まる悪役かも知れませんが、恵まれた身長を生かしてのクールビューティキャラは、女優の引き出し(持ちキャラ)としては使いでのある武器でございます。笑うと可愛い垂れ目ちゃんな原嬢ですが、3ヶ月は笑顔封印で頑張って頂きたい所。
“友情出演”格の田中邦衛サンは、どこか人としての品格を感じさせるホームレス役。いやぁ、美味しいですわ、この役。
『北の国から』という大ヒット作を持つ田中氏、それ故にこれまでなかなか別方面での展開が無かったんですが。『合言葉は勇気』以来、『北の国から』に縛られない格好の露出が増えているような気が致します。そういえば、戸田恵子サンも『総理と呼ばないで』以降突然にブレイクしましたわね。これって三谷マジック?
『金八』の屈折少年演技で、武田鉄矢嫌いのワタシをすっかり釘付けにしてくれたジャニーズジュニアの風間俊介クン。初回はさほどの見所が無かったんですが、前枠『ネバーランド』に出演中の同僚たちとは一味違った(というかそもそもベクトルが違う)演技力で、“ホームレス育ち”の少年を造型してくれることでしょう。次回以降がちょっと楽しみ。
『美しい人』のコントと演技の境目を無視した演技で、ワタシを辟易させてくれた柳沢慎吾。しかし今回は、仕切りたがりのホームレスとして、とりあえずちゃんと芝居をしてくれてます。とにかく、あの妙に気張った甲高い声を出していないだけ随分とマシですわ。
『君が教えてくれたこと』での予想外の演技で、ワタシを愕然とさせてくれた山口もえ。今回は、ホームレスを駆逐する役人として登場でございます。この豪華なキャスティングの中でどこまで出番を貰えるかが心配ですが、バラドルとしての商品価値の下落を考えても、ここで女優としてひと勝負つけておきたいところ。ご健闘をお祈りしますわ。
劇団☆新感線の重鎮(?)こぐれ修さんがこっそり格落ち秘書役でご出演中なのは、何かの複線なんでしょうか、それとも一部マニアの受けを狙ってるんでしょうか?
イヤ味クンを演じさせたら天下一品の相島一之サンもご出演中。
「一ヵ月後、彼は京都に転勤願いを出すことになる」
のタウンページCMでお馴染みの彼ですが、今回は収賄容疑で追われる神(岸谷)を追う刑事役でございます。無実の罪を着せられた主人公が、逃げつつも真実を追う・・・という大筋の先例である『逃亡者』では、主人公を追っている刑事に何故か主人公へのシンパシーが生じ、それが事件解決の一助となる、という設定があるんですが(H・フォードの映画ではT・ジョーンズが好演してましたな。一発でファンになった単純なワタシ)。相島さんだと・・・多分、岸谷にシンパシィどころか、思いっきり権力に転びそうな予感が(笑)。
画竜点睛を欠くのは、小野武彦さんの悪役っぷりでしょうか。一見清廉で国民にも人気があるが、実は腹の底がもの凄く汚くて黒い政治家・東城という役どころ。そりゃまあ確かに、流石の演技力でとりあえず岸谷吾朗の熱演には負けないレベルまで持って来ていらっしゃるんですが。しかし小野武彦、スケールの大きな悪役というよりは、小市民的な小悪党だけど小さな善意も忘れていない、というキャラクターの方がお似合いなんですがねぇ。そもそも、“政治家”ってほど悪そうな顔じゃないし、微妙な挙動がやっぱり微妙に小市民なんだよな、小野さんだと。
ストーリー紹介のところでちょっとリンクを入れてみたんですが。このドラマ、昨年夏の『QUIZ』同様、登場人物のサイトが構築されております。もしかすると、このサイトもストーリーの本筋に微妙に絡んでくるかも知れませんね。
・・・はっ、今すごーく厭な予感が。折角初回が緊張感に満ちた良い出来だったのに、もしかして最終回で『QUIZ』並みに失速しちゃったらどうしよう・・・どきどきどき。金田一少年の事件簿
あの過管理で知られる某事務所が、何故わざわざ嵐の松本潤にこんな茨の道を歩ませるのかさっぱり判らないワタシ。何も、このドラマを継がせる必要は無かったでしょうに・・・。
堂本剛主演で大人気を博した(実は我が家でも大人気だった)マンガ原作ドラマが、キャスティングを一新して帰ってきた!というのが惹句。しかし、堂本版はじめの印象があまりにも強すぎて、初手から受け手であるワタシの中に思いっきり予断がありましてですね。この稿を書くために、なるべくフラットな気持ちで見ようと念じつつ1時間我慢したんですけど、結局最後には
「つ〜よ〜し〜(泣)」
と叫ぶ羽目に陥ってしまいました。
大体、原作漫画そのものが、後半に行くにしたがってどんどんどつよの顔やキャラ作りに引きずられていたというのに、何故今敢えて松潤?
「松本潤なりの“金田一少年”」
って言ったって、そもそも原作があるんだからそこから激しく逸脱する訳にも行きますまいにねぇ。ただでさえ“堂本剛の当たり役・出世作”という評価がガチガチに固まっているドラマなのに、これをまだまだキャリア不足の松本潤が演じるというのは、一種のイジメに近いかと。
決して彼ばかりが悪いわけではありませんが。松潤、軽キャラとシリアスとの使い分けもまだまだだし、何より口跡がはっきりしていないから、推理のセリフがブラウン管のこっちに全然届いて参りません。どつよの場合、めりはりのある科白回しと明瞭なコトバの押しの強さで、どう考えてもユルユルのトリックでさえも何故かその場はフムフムと聞いてしまいたくなるような説得力があったんですが。松潤はじめちゃん、初回の今夜は、何をやっても内藤剣持に食われっぱなしでございました。内藤さんにしてみれば、引きに引いた芝居のつもりなんだろうけどなぁ・・・。
おまけに、(これは演出も関係があるんでしょうが)松潤金田一、どうも画面上で今一歩目立っておりません。人気ドラマの新規スタートということで局側の気合がキャスト集めに出たか、いかにもアヤシ気な面々が多数雁首を揃えた初回の今夜。やれいかりやだ朋友伊藤だ石原都知事ジュニアだヒナガタだと集めまくった結果、主役の松潤がさっぱり浮き上がってこないという弊害が出てしまいました。やっぱり主役はバーン!と出てこないとね。特に、このテのヒーロー物は。
エンドロールでの松潤の格好良さは特筆物。どつよと違って、線が細くて眼がデカくてシャープで今風なのが持ち味の彼なんですから(じゃあどつよの持ち味って何だ?)、やっぱり別のキャラクターで見てみたかった、というのがホンネのところです。なんだか損な籤引いちゃった感じがして、松本潤がとてもいたいけに見えた1時間でございましたとさ。とほほ・・・。生きるための情熱としての殺人
酒豪釈由美子のシャンパン一気飲みシーンから始まったこのドラマ。主題歌に倉木麻衣を起用してのスタートですが、スローモーションを多用した演出はどうしても安っぽさ紛々。しかも、本編に入るといきなり高田純次というウサン臭さ。釈由美子の事務所も、一体どういうつもりの戦略を立てているんだか、ねぇ。非常に戦略的なぼけっぷり(ちなみに彼女は、自分が合格して入学した学習院短期大学を「滑り止め」と言い放つ偏差値の持ち主でございます)といい、ここまで来ても平然と水着姿を解禁している居直りっぷりといい、使い方によってはまだまだ面白い素材なんじゃないかと思わせる底を持っている分だけ、今回の起用にはちょいと疑問符を感じるところでございます。っていうか長髪の方が可愛いんですけど、釈。伸ばせ、髪。
それにしても、相変わらず狙ってるんだか狙ってないんだか今一歩読みきれない枠でございます。これからというタレント(立ち居地としては役者未満)を中心に据えて、その周囲を“ちょっと前”な感じの役者で固める・・・というフォーマットが多い枠ではあるんですが、そのまま“実験系ドラマ”の置き場として定着させたいのかどうか。社運を賭けた『YASHA』の失敗が、この枠の方向性を激しく迷走させているような気もいたします。
キャストも、豪華だか豪華じゃないんだか微妙なラインナップ。
とよた真帆サン、この前の連ドラは、かの怪作『億万長者と結婚する方法』でございましたが・・・あ、これってホジくり返されたくない過去ですか?ほほほ。前作とは全く逆の、
「バリバリと仕事に生きて来たキャリアウーマン」
を熱演中でございます。もちろん良くお似合いの役どころで、しかも堅い演技をしておられるんですが。“不公平人事にヘコむ出来る女”という脚本上・演出上の描写があまりにも類型的なせいで、それ以上の役柄への肉付けが阻害されている感じがございます。型がきつ過ぎて、どうにもペラペラな雰囲気が。
行きがかり上一千万円の借金を負う事になってしまった買い物依存症女に、横山めぐみ。いい年齢をして甘すぎる語調が、“きちんと物を考えられない莫迦女”の雰囲気を十全に表現しております。しかし、日頃『SMAP×SMAP』での姿をお見かけしているせいか、芝居にどことなくコントの香りが漂ってしまうのが最大の難。おかげで、ドラマ全体がちょっとコント臭い・・・。
経済的には豊かだが非常に冷たい夫。離婚に応じない夫を問い詰めて、その結婚が昔の男の策略に拠るものだったと知り人生に絶望する若妻に、高岡早紀。色白で微妙に荒れた肌感が、いかにも不幸そうな結婚を思わせます。しかし、初回の今夜は、夫(こともあろうにフックンこと布川敏和。この辺のキャスティングが、この枠のどうにも安っぽいイメージを現出させてるんだよなぁ)相手に懊悩する顔しか出が無く、こちらも“キャラへの肉付け”もへったくれもありません。折角の、
「死を決意して踏み切りにたたずむ」
というシーンも、引きの画像ばっかりで演技する余地を与えてもらってないし。つくづくどうだろう、この演出。
鈴木一真クン、『昔の男』初期のノー天気ナイスガイから打って変わって、鬱屈丸出しのド悪役を演じておられますが。しかし、今時葉巻なんぞをふかしてみたり、デスクに生産中止になったCUBEを置いているあたり、会社の若社長にしては時代を見る目が無さそうです、ハイ。とりあえず、とよた真帆よりも設定上1歳年上ってのは、双方にとって絶対無茶な設定だと思いますが。
で、その一真クンの兄筋に当たる男に、伊原剛志。身寄りの無い孤児だったのを、一真演じる階堂佑介の父親に引き取られて弁護士になるまで面倒を見てもらった、という役どころでございます。今時そんな設定ありか、と突っ込むのも無駄な話なんですが、また伊原氏が緩み無くクソ真面目に演じちゃってるからなぁ。横山めぐみがコントなだけに、そのギャップがかなりとほほ・・・な雰囲気でございます。
簡略にストーリー。
入社してから10年、仕事一筋で階堂物産初の女性部長職を目前にした美津子(とよた)は、階堂社長(鈴木一真)の愛人である後輩の石黒に、突然昇進の先を越されてしまう。一方、カード破産目前の由佳里(横山)は、ブランドショップでクレジットカードが認証されず買い物できなかった苛立ちから、目の前に止めてあったベンツにぎりぎりと傷をつけた。ところが、その車が危ない職業のお方の持ち物だったために、一千万円の借金を負う身となってしまう。そして、由佳里の同期の京子(高岡)は、冷たい家庭生活に悩んで夫に離婚を切り出し、
「お前とは離婚できない、お前の元の恋人である階堂との契約があるからだ」
と結婚の裏事情を暴露され、人生に絶望しかかっていた。
男に復讐したい2人の女と、金銭的な事情で後が無い1人の女。そこに天恵の如く現れた一人の小悪魔、舞衣(釈)。彼女は、階堂唯一の弱点ともいえる彼の亡き妹・安奈に瓜二つなのだった・・・。
原作は知らず、とにかく演出がチープなのがひたすらに泣けます。
舞衣と美津子が電車で偶然行き会い、
「この娘は復讐計画に使えるかも」
と慌てて由佳里や京子に連絡を入れるシーン。何故かとよたさん、携帯電話を持っておりません。駅のホームの緑電話に小銭を入れる、という、今時のキャリアガールともあるまじき行動を取っております。
これ、“目を放した隙に舞衣が逃げる”という演出の必要上仕方が無かったんでしょうが。それにしても、せめて、「一旦はかばんから携帯電話を取り出すが、電池切れもしくは圏外だったので緑電話に走る」というワンショットを入れて欲しかったですわ。
他にも、温泉の素か何かで白濁した風呂だった筈なのに、次のシーンでは湯が透明になっている・・・だのというトンチキな演出もあったり、由佳里が通うのがディオールだったりと、
「どこまで本気・・・?」
と言いたくなる様なチープさ。また、演出はかくも情けないほど安っぽいのに、何故か劇伴音楽が妙にコ洒落ているのも、哀しさを増幅させます。時間帯も考慮すると、かなりコアな釈ファンしか見ないのではないでしょうかねぇ。しかも主演釈由美子、初回は演技云々をコメント出来るほどの登場シーンすらありませんでしたし。
『新宿なんちゃら救急隊』(ロンブーが出てたドラマね)の初回でゲスト出演した釈由美子は、
「やっぱりあのボケって天然じゃなかったんじゃん、け」
と外野に舌打ちさせるような微妙な感情表現で、女優としての資質の一端を覗かせていたんですけども。しかし、こんなところでこんな不注意な作り方をしているドラマの主演を張っても、あまり今後への旨みはなさそうな・・・。とにかくあちこちチグハグなこのドラマ、ここまで狙いが拡散しちゃった状態だと、途中分解の危険すら感じます。原作物だからとりあえずオチは付く筈なんですが、大丈夫なのかなぁ・・・無事に完走出来るんだろうか。うーん・・・ま、この枠はそもそも、成功するとかしないとかっていう枷自体がが無さそうな気もしますが。南無。早乙女タイフーン
とてもここまで手を広げる暇は無かったんですが、永遠の便利脇役加藤晴彦ついに初主演!というのが気になって、ちらっと見てしまったワタシ。斜めザッピング視聴でアレなんですが、ちょいと一言二言。
1.加藤晴彦はやっぱり茶髪がお似合い。黒も金もイマ一歩。
2.吉沢悠クンと加藤晴彦が並ぶと、真ん中に反町隆史とか竹野内豊とかを置きたくなるなぁ。
3.篠原涼子、すっげーいい女っぷり。しかし、大河にまで出ておいてどうして安売る?
4.美しい浜辺の風景が映ると、どうしてもサザンの曲を思い描いてしまうぞ。
5.でも、石井正則やら河原さぶやら、脇がしっかりしてるので、我慢して見ている内に意外と面白くなるかも。
6.そういう風にうっかりダマされそうな自分がとても悔しい。恋がしたい 恋がしたい 恋がしたい
畳み掛けるような3連複のタイトル。そして、微妙に微妙に豪華なトリプル主演。特に、渡部ファンにとっては、大河繋がりで何とも幸せな日曜日なんじゃないかと。さらに言えば渡部篤郎、歴史の先生役として授業で何故か北条と朝廷の講義してるし。さすがにそれは狙いすぎ、スタッフ(笑)。
ストーリー。
誕生日に、欲しかった赤いサンダルを手に入れることが出来ずにしょんぼりと牛丼屋に入った蜜柑(菅野美穂)。ところがそこで、若い男女が喧嘩を始める。たまたま同席していた涼介(渡部篤郎)、渉(山田孝之)、織江(岡江久美子)、店長の文平(所ジョージ)と共に唖然とする蜜柑だが、その一郎(及川ミッチー)と藍(水野美紀)は、あっけらかんと
「芝居ですから」
と去っていった。
残された蜜柑は、何故か涼介から一つの包みを受け取るが、それは欲しかったのに売り切れていた赤いサンダルだった・・・。
年齢も生活も違う7人の男女が、「恋をしたい」という想いを胸に人生を絡ませていく、ちょっとおかしくてとっても切ないラブストーリー。
何せもう、手堅い脚本手堅い演出手堅い役者。大ヒットを狙うというよりは、来るべきウィークデイ(しかも暑い)に向けて、まったりのんびりしみじみとその世界観に浸って頂こうという狙いでしょうか。どことなく『男女7人恋物語』に似た雰囲気で、まったりと話が進んでまいります。カンノが所ジョージに牛丼代の小銭を手渡すときに、ふと触れた指先に年甲斐も無く所サンがときめいてしまう演出なんぞ、実に手堅い辺り。
初回のせいかついつい気張ってしまって、最後になっていくつかあざといシーン・演出を入れてしまったのは惜しい所ですが、全11回をこの調子でまったり進めてくれたら、見るとも無くついつい見てしまいそうな気はしないじゃありません。
登場人物それぞれが芝居巧者で、おまけに噛み合わない様で微妙にウマい事噛み合ってるせいで、初回からちゃんと“世界”が出来ているのがお見事。主要舞台が一箇所(牛丼屋)に限定されているおかげか、
「どこかにありそうな世界の一角」
がちゃんと見えるのが実によろしいかと。
恨みは、水野美紀演じる羽田藍のキャラクターでしょうか。テレビ雑誌によれば、“破天荒な性格の自由人”ということなんですが。話をかき回すだけかき回して、ここぞというキメの瞬間に何だか妙に切なげな台詞なんぞをキメちゃって男ドモをメロメロにする・・・という役どころ。いかにも、“ドラマのストーリーを転がすための人材”というのが見え見えでございます。色白の美紀ちゃんは大変にお美しく、『女子アナ。』の真琴とはまた全然違った弾けぶり(ちゃんと区別して演技しているのがエライ!)なんですが、動かし方によってはすかさずお手盛りなキャラになってしまうので要注意、という感じでしょうか。っていうか、このテのキャラってそもそもカンノの得意とするところなんすけどね。
しかし菅野美穂ってのは、どうしてこう歩き方がベタベタとしてるんでしょうか。どこまでコントか良く判らなかったシリアスドラマ『愛をください』でも、あの歩き方がシビアな台詞を程よく緩和して、どうにもイカしたコントになってたんですが。
今回は、菅野美穂の“能力(タレント)”ではなく“魅力(チャーム)”が爆発する類の役どころ。内気で健気で報われなくてちょっとヘン、な女の子でございます。水野サンもそうなんですが、そもそも綺麗な肌を、更に特別丁寧に録って貰っているので、
「こういう娘は、せめてドラマの中で位報われて欲しい!」
と思わずこぶしに力が入ってしまいます。『天気予報の恋人』で、結局深津絵里が稲森いずみに負けたことで世の女性陣の大反感を買ったことを教訓に、脚本の遊川御大にはぜひ練れた最終回をお願いしたいところでございますな。
それにしても頑張ってますすき家。またもTBSドラマとタイアップ。どうせなら、ドラマ連動で特売キャンペーンでもすればいいのにねぇ、カンノセット(並×2・おしんこ)なんぞを適当に作って。それにしても、女性が一人手馴れた素振りで牛丼を食べるというシチュエーションは、つくづく使い勝手のいい“切なさ”の演出になりますな。チェーン牛丼屋の場合特に、店の中が深夜まで妙に煌々と明るいもんで、余計に切ないんですよねぇ。
このドラマに限らず、7月クールは、4月クールの最終回とほとんどタイムラグが無いせいで、ヘタな煽りが無い分却って視聴者側としては恬淡と臨める気がいたします。煽りに煽って滑った時の辛さは、地味にダメだった時よりもダメージが大きいですからね・・・。
『ラブスト』の微妙な失敗ぶりを考えると、今回のこのドラマののんびりとしたスタートは、“可もなく不可もなく”な分だけ妙な安心感がひしひしと。この調子で堅調に推移してくれれば、こんなにありがたい事は無いんですが・・・(不安)。